外国人が日本で働くためには、在留資格(就労ビザ)の活動内容と従事する仕事が一致している必要があります。特に「転職」や「配置転換」の場面では、現在の在留資格で新しい業務に就いても問題がないか? という不安がよく出てきます。
このとき有効なのが「就労資格証明書」です。今回は、就労資格証明書の基礎知識から、転職時の活用法、不許可リスクを避けるためのポイントまで徹底解説します。
就労資格証明書とは?
就労資格証明書(Employment Qualification Certificate)とは、現在持っている在留資格で、新しい職務に就労することが適法かどうかを出入国在留管理庁が証明する文書 のことです。
- 交付機関:出入国在留管理庁
- 有効期間:交付後、原則として在留期間の残りの間有効
- 申請者:本人または受入企業
- 法的効果:義務ではないが、転職後の在留資格更新時に強力な「適法性の証明」として機能
✅ 出入国在留管理庁の該当ページ
就労資格証明書交付申請 | 出入国在留管理庁
就労資格証明書が必要になる場面
転職するとき
最も典型的な利用場面です。
- ITエンジニア(技術・人文知識・国際業務)から別のIT企業へ転職
- 経理職からマーケティング職に異動
このような場合、業務の内容が「現在の在留資格の範囲内かどうか」を確認するために取得します。
配置転換や出向のとき
同じ会社内で別部署に配置転換、異動した場合や、グループ会社への出向なども対象となります。
更新・変更前に不安があるとき
「この仕事で更新できるだろうか?」という不安がある場合、事前に取得しておくことでリスクを軽減できます。
チェックリスト
以下のチェックに1つでも当てはまれば、就労資格証明書の取得を検討してください。
- 今の在留資格で転職しても問題ないか不安がある
- 転職後の更新で不許可になるリスクを避けたい
- 採用企業から「合法的に就労できるか確認したい」と言われた
- 配置転換や出向で職務内容が変わる
- 新しい職務が在留資格の範囲に入るか判断が難しい
- 在留期間の更新を控えている
就労資格証明書を取得するメリット
転職後の更新がスムーズになる
証明書があれば「適法性がすでに確認されている」として、更新時に不許可となるリスクが大幅に下がります。
企業側の安心材料になる
採用する企業にとっても、「この外国人は法的に就労できる」というお墨付きがあることで、採用判断がしやすくなります。
入管への信頼度が上がる
自主的に証明を取っておくことで「法令順守意識が高い」と評価され、今後の在留資格審査でもプラス要素となります。
就労資格証明書の申請方法
必要書類
- 就労資格証明書交付申請書
- パスポート
- 在留カード
- 雇用契約書(新しい勤務先のもの)
- 会社の登記事項証明書
- 直近の決算書(貸借対照表・損益計算書)
- 会社案内や事業内容が分かる資料
※状況に応じて追加資料を求められる場合あり
申請先
地方出入国在留管理局
審査期間
おおむね2週間〜1か月程度
手数料
交付時に収入印紙代がかかります。(オンライン申請の場合)¥1,600 / (窓口申請の場合)¥2,000
就労資格証明書を使わない場合のリスク
- 転職後の在留期間更新で「職務内容が在留資格に合致しない」と判断され、不許可になる可能性がある
- 転職後に初めて更新申請をする際、審査が長引き、就労に支障が出る場合がある
- 企業側も「違法就労助長」のリスクを負う可能性がある
就労資格証明書 申請フロー
転職や異動が決まったら、次の流れで進めます。
新しい勤務先が決定
雇用契約書を締結
必要書類を収集
就労資格証明書交付申請書を作成し、地方出入国在留管理局へ申請
審査(2〜4週間)
証明書交付(収入印紙代を支払い)
転職後の更新・在留資格変更時に活用
まとめ:転職時は「適法性の盾」として活用を
就労資格証明書は義務ではありませんが、転職・配置転換などの場面では非常に有効です。
- 現在の在留資格で新しい職務が可能かを確認できる
- 転職後の更新リスクを下げることができる
- 採用企業にとっても安心材料になる
当事務所では、就労資格証明書の申請サポートをはじめ、転職・更新に伴う在留資格全般のご相談に対応しております。初回相談は無料ですので、不安のある方はぜひご相談ください。