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技術・人文知識・国際業務ビザとは?できる仕事・職種一覧・要件・申請書類・更新まで完全ガイド

外国人が日本で専門的な知識やスキルを活かして働く際に最も代表的な就労ビザが「技術・人文知識・国際業務ビザ(通称:技人国ビザ)」です。ITエンジニアや研究職、経理・人事、海外営業や通訳翻訳など幅広い職種で活用され、多くの企業にとって欠かせない在留資格となっています。

しかし、実際の審査では「どんな仕事なら認められるのか」「学歴や職歴の要件は何か」「更新時にどんな書類が必要か」といった疑問がつきまといます。

本記事では、技術・人文知識・国際業務ビザの基礎から対象職種一覧、申請要件、必要書類、更新や転職時の注意点、不許可事例まで徹底解説します。初めて申請する方、更新や転職を控えている方も、この記事で全体像を整理しましょう。

目次

技術・人文知識・国際業務ビザとは?基礎を3分で整理

まずは、技人国ビザの「位置づけ」と「基本ルール」を押さえておきましょう。

在留資格としての定義

「技術・人文知識・国際業務」は、入管法で定められた就労系の在留資格のひとつで、高度な専門知識や外国語能力を活かす業務 に就く外国人のための枠組みです。大きく3つの区分に分かれています。

  1. 技術(理系分野)
     理学・工学・IT・機械設計など、自然科学の知識や技術を活かす仕事。
     例:システムエンジニア、データサイエンティスト、設計エンジニア。
  2. 人文知識(文系分野)
     法律・経済・社会学・経営・会計など、人文科学の知識を活かす仕事。
     例:経理、人事、マーケティング、経営企画。
  3. 国際業務(語学・国際分野)
     外国語能力や異文化理解を必要とする仕事。
     例:通訳、翻訳、海外営業、語学教師。

単純作業は不可

重要なのは、単純作業は認められない という点です。
たとえば工場ライン作業や飲食店のホール業務、清掃などは「知的・専門的業務」とは評価されず、技人国ビザの対象外です。

専攻や職務との関連性

申請の際には、学歴や職歴と就職先の業務内容の「関連性」が必須となります。
例:情報工学を専攻した人がITエンジニア職に就く → 関連性あり
  経済学を専攻した人が経理やマーケティングに就く → 関連性あり
この「専攻と業務のつながり」を入管に説明することが許可のカギとなります。

日本人と同等の待遇

さらに、給与や雇用条件は 日本人と同等以上であること が求められます。最低賃金を下回ったり、不当に低い待遇で雇用したりすると、不許可につながります。

ここまでで「技人国ビザの基礎」を整理しました。次の章では、「できる仕事/できない仕事の考え方」 をさらに掘り下げて解説します。

技術・人文知識・国際業務ビザでできる仕事・できない仕事

できる仕事/できない仕事の考え方

技人国ビザを理解するうえで最も重要なのが、「どんな仕事ができるのか、どんな仕事はできないのか」という線引きです。単純に「ホワイトカラーはOK、現場作業はNG」と片付けられるものではなく、業務の内容と比率 を丁寧に整理する必要があります。

主従関係の考え方

入管が判断する際の大原則は、知的・専門的な業務が「主」であること です。逆に、専門性がなく誰でもできる作業が「主」となる場合は許可されません。

  • 主が専門業務/従が補助的作業 → 許可の可能性あり
     例:システムエンジニア(主)として設計・開発を行うが、必要に応じてサーバールームの機材調整も行う。
  • 主が単純作業 → 不許可
     例:倉庫作業員として荷物の搬入出をメインに担当し、ときどき在庫管理システムを操作する。

このように、「どちらが主で、どちらが従なのか」が判断の軸となります。

比率の目安

実務的には、専門業務が全体の8割以上を占めていること が望ましいとされています。
つまり、週40時間の労働時間のうち32時間以上は知的・専門的な業務であることが目安です。残りの時間で補助的な業務や雑務を行う程度であれば問題ありません。

逆に、現場作業や接客が半分以上を占めるような職務設計では、技人国ビザは難しくなります。

グレーゾーンの例

現場作業を一切行ってはいけない、というわけではありません。あくまで「主従関係」と「業務比率」で判断されるため、以下のようなグレーゾーンも存在します。

  • 設計エンジニアが自ら試作品を作って検証する → 主は設計業務なので許容されやすい
  • 海外営業担当が展示会で自社商品のブース対応を行う → 主は営業活動なので許容される場合がある
  • 経理担当が月末に書類の仕分けやコピーを行う → 主は経理業務なので問題なし

一方で、以下のようなケースはリスクが高まります。

  • ITエンジニアとして採用したはずが、実際はヘルプデスクやキッティング作業が大半を占めている
  • 海外営業として雇用したが、実際には倉庫での梱包や配送手配がメインになっている
  • 経理担当としながら、ほとんどが総務の雑務や受付業務になっている

このような場合、更新や転職の際に「実態が在留資格に適合していない」と判断され、不許可や取消しにつながることがあります。

職務記載と実態の整合性

申請時の業務内容説明書や理由書には、「主業務としての専門的活動」を具体的に書き込む必要があります。
たとえば「システム開発業務に従事」とだけ書くのではなく、設計・プログラミング・テスト・顧客折衝など、知的性の高いプロセスを中心に列挙する ことが大切です。

また、企業側は実際の勤務内容が説明通りであるよう、業務フローや職務分掌を明文化 しておくと安心です。入管が確認したときに、「名目だけが専門職で、実態は単純作業」という状況にならないように管理することが求められます。


まとめると、技人国ビザでの就労可否は「専門業務が主か」「比率が十分か」「書類と実態が一致しているか」が鍵です。次の章では、さらに具体的に 「技術・人文知識・国際業務の職種一覧【最新版】」 をご紹介します。

技術・人文知識・国際業務ビザの職種一覧【最新版】

技人国ビザの対象となる職種は非常に幅広く、IT、経営、マーケティング、通訳、国際営業など多岐にわたります。しかし「どの職種が対象になるのか?」「グレーゾーンの線引きは?」という疑問を持つ方も少なくありません。ここでは、最新の審査傾向を踏まえた 代表的な職種例と注意が必要なグレーゾーン を区分ごとにまとめます。

技術分野(エンジニア・研究・設計 等)

理工系の専門知識や技術を活用する業務が対象です。法律上は「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術もしくは知識を必要とする業務」と定義されています。

対象となる典型職種

  • システムエンジニア(SE)、プログラマー
  • ネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、セキュリティエンジニア
  • AIエンジニア、データサイエンティスト
  • Webエンジニア、アプリケーション開発者
  • 機械設計、電気・電子回路設計
  • 研究開発(R&D)、実験・検証エンジニア
  • 航空宇宙・自動車・ロボット分野の設計技術者

注意点(グレーゾーン)

  • CADオペレーター→設計・開発業務を伴う場合のみ対象。単なる入力作業は不可。
  • ITサポート・ヘルプデスク→導入支援やシステム設計を含めば対象、機材搬入や設定作業中心は不可。

人文知識分野(経理・法務・人事・マーケ 等)

人文科学の知識や経験を活かす業務が対象です。法律上は「法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術もしくは知識を必要とする業務」とされています。

対象となる典型職種

  • 経理、財務、会計士補助
  • 人事、労務管理、総務
  • 法務、契約管理
  • 経営企画、事業開発
  • 経営コンサルタント、業務改善アドバイザー
  • マーケティング、広報、広告戦略
  • 商品企画、ブランド戦略担当
  • ロジスティクス・サプライチェーン管理

注意点(グレーゾーン)

  • 総務・人事→制度設計や人事戦略なら対象、庶務中心なら不可。
  • 営業職→法人向けの提案型営業は可。単なる個人販売は不可。

国際業務分野(通訳翻訳・海外営業・語学指導 等)

外国語能力や国際感覚を必要とする業務が対象です。法律上は「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」と定義されています。

対象となる典型職種

  • 通訳、翻訳(会議通訳、技術文書翻訳、契約書翻訳など)
  • 海外営業、輸出入取引(貿易事務)
  • バイヤー(海外製品の仕入れ)
  • 語学教師(英語、中国語、韓国語など)
  • 外国人顧客対応のカスタマーサポート
  • 国際イベント・展示会の運営スタッフ
  • 外国向けメディア・広告制作スタッフ

グレーゾーン職種

  • ホテルフロント → 語学を活かす受付なら対象、配膳や清掃が中心だと不可。
  • カスタマーサポート → 専門的な外国語対応なら可、単なる案内業務は不可。
  • 広告デザイン・UI/UXデザイン → 国際感覚を要する案件なら対象になることもあるが、資格区分が分かれる場合がある。

職種リスト活用の使い方

「職種名」よりも「業務内容」で判断
同じ「営業」でも、専門的知識や語学力を必要とする海外営業は認められる一方、個人向け販売は対象外です。
業務の比率が重要
専門的業務が全体の8割程度を占めているかどうかが許可の目安です。
業務の専門性を可視化
業務内容説明書や理由書で専門性を具体的に示すこと が不可欠です。

このように、技人国ビザの職種は「幅広いが万能ではない」というのが実際のところです。特にグレーゾーンのケースは、どのように書類で専門性を説明するか が許可率を大きく左右します。

技術・人文知識・国際業務ビザの申請要件を深掘り:学歴・職歴の関連性/給与/企業の継続性

技人国ビザの申請で最も審査されるのは、「その人が専門的な知識を活かした業務に就くかどうか」という点です。単に会社から内定を得ただけでは足りず、学歴・職歴・待遇・企業体制など複数の要件を満たす必要があります。 ここでは、許可・不許可を分ける主要ポイントを整理します。

学歴・職歴の関連性

大学卒業(学士以上)

原則として、大学卒業(学士号以上) が要件の基準です。国内外の大学は問いません。重要なのは「専攻と業務内容に一定の関連性があるか」です。

  • 情報工学専攻 → ITエンジニア職 → ◎適合
  • 経済学専攻 → 経理・マーケティング職 → ◎適合
  • 哲学専攻 → ITエンジニア職 → △不適合(関連性の説明が必要)

日本の専門学校卒業(専門士)

文部科学省が認定する専修学校専門課程を修了し「専門士」の称号を得た場合も対象になります。ただし、こちらも 学んだ内容と職務内容の関連性 を立証する必要があります。

職歴による代替

学歴要件を満たさない場合でも、関連する実務経験があれば代替可能です。

  • 技術・人文知識分野 → 原則10年以上の実務経験
  • 国際業務分野 → 3年以上の実務経験で可

「関連性」の立証方法

技人国ビザ申請で最も多い不許可理由のひとつが「学歴と職務の関連性不足」です。入管は、専攻した学問や積んできた職歴が、就く予定の業務に直結しているかどうか を厳しく確認します。

例えば専攻×職務であれば下記のようなイメージになります。

  • ◎ 情報工学専攻 → システムエンジニア職(高度な専門性が直結)
  • ◎ 経済学専攻 → 経理・マーケティング職(知識の応用が明確)
  • △ 哲学専攻 → ITエンジニア職(直接の関連性が薄い → 理由書で補強が必要)

立証ポイントは「専攻と業務の接点」を明確に書類で示すことです。書類に「関連性の橋渡し」を明示することで、入管に納得してもらえる確率が高まります。

  • 職務内容説明書に、学んだ専門分野がどの業務に直結しているかを書く
  • 大学のシラバスや専門学校での履修科目一覧を提出し、学習内容と職務内容の共通点を説明
  • 卒業論文・研究テーマを提示して、業務への応用性を示す
  • 実務経験の場合は、在職証明書・職務内容証明書・雇用契約書などを用意し、経験内容を具体的に示す

給与は日本人と同等以上

技人国ビザのもう一つの重要な審査ポイントは「待遇」です。外国人労働者が日本人より不当に低い給与で働かされることを防ぐため、日本人と同等以上の報酬水準 が求められます。技人国ビザの審査では、給与水準が日本人と同等以上かどうか が必ずチェックされます。

よくある不許可事例は下記になります。

  • 外国人エンジニアを月給18万円で雇用(日本人同職は25万円以上) → 不許可
  • 契約社員扱いで福利厚生を削減 → 不許可リスク大
  • 最低賃金を下回る条件 → 不許可

立証ポイントは給与水準だけでなく、雇用形態や福利厚生を含めて公平性を担保しているかを書類で示すことです。給与の公平性を客観的に説明できる資料を揃えることが大切です。

  • 就業規則・賃金規程・給与テーブルを添付して「同待遇」であることを証明
  • 同職種に就く日本人社員の給与実績を提出
  • 雇用契約書に残業代・昇給制度・賞与支給の有無を明記

受入機関の実体と継続性:決算・資金計画・ガバナンス

申請者がどれほど優秀でも、受け入れる企業に安定性がなければ不許可の可能性が高くなります。受け入れる企業の健全性 も審査対象です。

具体的には以下の点が確認されます。

  • 法人登記がされているか:株式会社・合同会社など正式に法人登記があるか)
  • 決算内容:赤字決算が続く場合は理由説明が求められる
  • 納税状況:納税証明書の提出が必要。法人税や消費税の滞納があればマイナス要素
  • 社会保険加入状況:未加入企業は不許可リスクが高い
  • 入管法違反歴の有無:過去に不正就労助長行為があると不許可リスク大

これらは、会社登記事項証明書、決算書(直近年度分)、納税証明書(法人税・消費税)、就業規則・給与規程、会社案内や事業計画書などの書類で確認されます。特に赤字決算の場合やスタートアップや設立間もない会社の場合、事業計画書や資金調達の根拠資料を補強資料として添付 するのが有効です。

素行・在留状況も審査対象

申請者本人の素行歴も審査対象です。過去に以下があると審査が厳しくなります。

  • オーバーステイ
  • 資格外活動違反
  • 税金や年金の未納
  • 犯罪歴

問題がある場合は、改善策や反省を具体的に示す必要があります。

技人国ビザの申請は「学歴・職歴の適合性 × 給与の公平性 × 企業の安定性 × 素行の適正」という複数条件をクリアすることが不可欠です。

技術・人文知識・国際業務ビザの申請方法:COE/在留資格変更/更新の流れ

技人国ビザは、状況によって申請手続きが異なります。大きく分けると、

  1. 海外から呼び寄せる場合(在留資格認定証明書=COE)
  2. 日本国内で在留資格を切り替える場合(在留資格変更許可
  3. すでに技人国で在留中の方が更新する場合(在留期間更新許可

の3パターンがあります。ここでは、それぞれの流れと注意点を整理します。

在留資格認定証明書(COE):海外採用で呼び寄せる場合

海外在住の外国人を日本に呼び寄せて雇用する際に必要なのが「在留資格認定証明書(COE)」です。

流れ

  1. 受入企業または代理人(行政書士など)が地方出入国在留管理局に申請
  2. 審査(1〜3か月程度)
  3. 許可されるとCOEが交付される
  4. 外国人本人がCOEを使って海外の日本大使館・領事館でビザ申請
  5. 入国後、空港で在留カードが交付される

注意点

  • 就労開始日から逆算して、3か月以上前には準備を始める のが安心
  • 企業の財務・体制に不安があると審査が長期化する場合がある

在留資格変更:留学・家族滞在・他在留からの切替

すでに日本にいる外国人が「留学」「家族滞在」「特定活動」などの在留資格から技人国に切り替える場合に行うのが「在留資格変更許可申請」です。

流れ

  1. 出入国在留管理局に必要書類を提出
  2. 書類審査(1〜2か月程度)
  3. 許可されれば、新しい在留カードが交付される

注意点

  • 就職先との関連性 が最も重視される(学歴や職歴と職務内容のつながり)
  • 在留期限が迫っている場合は、早めに申請しないと不法残留のリスクがある

在留期間更新:時期・審査観点・やりがちミス

すでに技人国で働いている人が、在留期間を延長する際に必要なのが「在留期間更新許可申請」です。

流れ

  1. 在留期限の3か月前から申請可能
  2. 出入国在留管理局に必要書類を提出
  3. 審査(2週間〜2か月程度)
  4. 許可されれば、新しい在留カードを受け取る

審査の観点

  • 雇用契約の継続性(同じ会社で継続勤務しているか)
  • 給与や社会保険加入状況が適正か
  • 過去の在留状況に問題がないか(税金・年金未納、資格外活動違反など)

やりがちなミス

  • 書類の不備や記載漏れ(特に源泉徴収票・納税証明書)
  • 更新期限ギリギリでの申請 → 在留資格が切れてしまう可能性あり
  • 転職後の初回更新では、職務内容が資格に適合しているか再度厳しくチェックされる

オンライン申請のメリットと注意点

最近では、入管のシステムを使ったオンライン申請も可能になっています。

メリット

  • 全国どこからでも申請できる
  • 入管窓口に行かなくてもよい
  • 書類の提出や補正依頼にスピーディーに対応できる

注意点

  • オンライン申請利用できるのは、申請人本人(マイナンバーカード所持者に限る)、申請取次行政書士、所属機関の職員、弁護士、登録支援機関の職員、および一部の公益法人や親族、法定代理人など。海外からは在留資格のオンライン申請はできません。
  • 一部の在留資格ではオンライン申請が認められていないケースもある
  • 添付資料はPDF化する必要がある

まとめると、技人国ビザの申請方法は「海外から呼ぶ」「国内で切替」「期限延長」の3パターンがあり、それぞれ流れや必要書類が異なります。早めの準備と書類の整合性 がスムーズな審査通過の鍵です。

技術・人文知識・国際業務ビザに必要な書類一覧(ケース別)

技人国ビザの申請に必要な書類は、申請方法によって異なります。大きく分けて

  1. 在留資格認定証明書(COE)申請
  2. 在留資格変更許可申請
  3. 在留期間更新許可申請
    の3つのケースがあり、それぞれに必須書類と補強資料があります。

在留資格認定証明書(COE)の必要書類

海外に住む外国人を日本に呼び寄せる場合

企業側から提出する書類

  • 会社登記事項証明書
  • 直近の決算書、損益計算書
  • 法定調書合計表
  • 雇用契約書、就業規則、給与規程

本人側から提出する書類

  • パスポート写し
  • 卒業証明書、成績証明書(学歴証明)
  • 在職証明書、職務内容証明書(職歴が要件となる場合)
  • 写真(4cm×3cm)

補強資料(推奨)

  • 職務記述書(ジョブディスクリプション)
  • 学んだ専攻分野のシラバスや研究テーマ概要
  • 企業案内パンフレットや事業計画書

在留資格変更の必要書類

留学や家族滞在などから切替える場合

企業側から提出する書類

  • 雇用契約書
  • 会社登記事項証明書
  • 直近の決算書、損益計算書
  • 法定調書合計表

本人側から提出する書類

  • 在留カード、パスポート
  • 卒業証明書、成績証明書(学歴証明)
  • 在職証明書、職務内容証明書(職歴代替の場合)
  • 履歴書、職務経歴書
  • 写真(4cm×3cm)

補強資料(推奨)

  • 学業と職務の関連性を示す資料(卒論テーマ、研究概要など)
  • 留学ビザからの切替の場合 → 出席率証明書

在留期間更新の必要書類

すでに技人国ビザを持っている人の延長

企業側から提出する書類

  • 雇用契約書(継続雇用を示す)
  • 法定調書合計表
  • 決算書・納税証明書

本人側から提出する書類

  • 在留カード、パスポート
  • 納税証明書(住民税課税証明書、納税証明書)
  • 住民票
  • 写真(4cm×3cm)

補強資料(推奨)

  • 職務内容説明書(主業務が専門的であることを示す)
  • 成果物サンプル、業務フロー図
  • 教育・評価計画書(特に新卒採用や若手の場合に有効)

書類準備のポイント

  • ケースごとに必要書類は違う → 自分がどの申請区分かを確認してから準備する
  • 最新版を提出 → 登記事項証明書や決算書は最新年度のものを揃える
  • 補強資料で専門性を可視化 → 法定書類だけでは不十分なことが多い

「COE=初めて来日する人」「変更=ビザ切替」「更新=延長」 で必要書類が分かれるため、必ず自分のケースに合ったリストを確認し、不足がないよう準備することが重要です。

理由書の作り方(審査を通すためのポイント)

技人国ビザの申請において、理由書は審査官を説得するための最重要資料 です。提出は義務ではありませんが、実務上はほぼ必須といえます。形式的な書類だけでは専門性や関連性を伝えきれないため、理由書で「なぜ許可されるべきなのか」を論理的に補足する必要があります。

理由書に盛り込むべき要素

  1. 学歴・職歴と職務の関連性
     専攻分野やこれまでの職務経験が、今回の業務内容にどう結びつくか。
  2. 専門性の明示
     申請者が従事する業務が「知的・専門的」であり、単純労働ではないこと。
  3. 待遇の公平性
     給与・福利厚生が日本人と同等以上であることを具体的に示す。
  4. 企業体制の安定性
     受入企業が継続的に外国人を雇用できる体制であること。
  5. 将来計画
     なぜ外国人材が必要なのか、採用後の役割や育成プラン。

書き方のポイント

  • 具体的に書く:「優秀だから採用した」ではなく、学んだ内容や実績を具体的に記載。
  • 数値やデータを入れる:「給与は十分」ではなく、「月額◯万円、賞与年2回、同職務の日本人社員と同等」など数値で示す。
  • 簡潔で読みやすく:審査官が数分で内容を理解できるよう、見出しや箇条書きを活用。
  • 一貫性を保つ:雇用契約書や業務説明書と齟齬がないよう注意。

NG例と改善例

  • NG例:「本人は英語が堪能なので採用した」
  • 改善例:「本人は英語検定C1レベルを保持し、海外営業担当として欧米顧客との契約交渉を行う予定であり、専門性と業務の適合性が明確である」
  • NG例:「給与は適切に設定されている」
  • 改善例:「給与は月額30万円、賞与年2回を支給予定であり、同職種の日本人従業員と同等の水準である」

補強資料との組み合わせ

理由書は単体で提出するよりも、補強資料とセットにすることで説得力が増します。

  • 職務記述書(ジョブディスクリプション)
  • 業務フロー図
  • 成果物サンプル(過去の実績や予定業務のイメージ)
  • 教育・研修計画

ポイントは「入管に疑念を残さないこと」。理由書は単なる作文ではなく、学歴・職歴・待遇・企業体制・将来性を論理的に結びつけるプレゼン資料 です。

転職・配置転換・出向/派遣の注意点

技人国ビザを持つ外国人がキャリアを重ねる中で、転職や社内の配置転換、他社への出向や派遣 といった状況は珍しくありません。ただし、これらの変化には必ず入管への届出や資格確認が伴い、怠ると在留資格取消や更新不許可のリスクがあります。ここでは、具体的な注意点を整理します。

転職時は何を届け出ますか?(契約機関に関する届出)

外国人が転職をした場合、14日以内に「契約機関に関する届出」 を出入国在留管理局に提出しなければなりません。

  • 届出内容:新しい雇用先の名称、所在地、契約開始日など
  • 提出方法:入管窓口または郵送、オンライン届出も可能
  • 罰則:届出を怠ると在留資格取消の対象になる場合がある

特に更新時に「転職したのに届出がされていない」と判明すると、過去の在留状況に不備があるとみなされ、不許可リスクが高まります。

就労資格証明書:更新リスクを下げる「適法性の盾」

転職後に「新しい職務が技人国ビザの活動範囲に含まれるか」不安な場合は、就労資格証明書 を申請しておくと安心です。

  • 就労資格証明書とは?
     入管が「新しい業務内容が現在の在留資格で認められる」ことを公式に確認してくれる書面。
  • メリット:
     ✅ 転職直後の更新申請で不許可になるリスクを下げられる
     ✅ 会社側も雇用の適法性を確認できるため安心
     ✅ 発行まで1〜2か月程度、在留資格更新と同時に申請も可能

派遣・請負・出向の線引きと書類の作り方

派遣や出向の形態で外国人を受け入れる場合は、入管審査が厳格になります。理由は「名目は専門職でも、実態は単純労働に流れやすい」ためです。

  • 派遣の場合:派遣元と派遣先の契約書、業務内容説明書を詳細に準備する必要あり。
  • 請負の場合:成果物を納品する契約かどうかを明確に示すこと。実態が「労働者派遣」と見なされると不許可リスク。
  • 出向の場合:出向元・出向先双方の契約内容、業務範囲を整理して提出。

書類で「専門性を持つ業務が主である」ことを可視化できなければ、不許可の可能性が高まります。

まとめ

  • 転職後は必ず14日以内に届出
  • 就労資格証明書を取得しておくと安心
  • 派遣・請負・出向は「書類で専門性を裏付ける」ことが必須

アルバイト・副業の可否と資格外活動許可

技人国ビザを持っている外国人は、原則として在留資格で認められた職務内容の範囲内でしか働くことができません。したがって、本来の雇用先以外でアルバイトや副業をする場合は、資格外活動許可を得る必要があります。違反すると在留資格取消や強制退去などの重大なリスクがあるため、注意が必要です。

所属機関外の報酬活動は原則禁止

  • 技人国ビザは、雇用契約を結んだ「所属機関」で行う専門業務のみを対象にしています。
  • 他社や個人から報酬を得る行為(アルバイト・副業)は、資格外活動許可がない限り不可
  • 例:
     ❌ ITエンジニアが飲食店でアルバイト
     ❌ 経理担当が週末にコンビニでレジ業務
     ✅ ITエンジニアが別会社のシステム開発を兼務(資格外活動許可を取得すれば可能)

資格外活動許可の範囲と注意点

資格外活動許可には大きく分けて2種類あります。

  1. 包括許可(アルバイト許可)
     → 留学生ビザでよく使われる「週28時間以内」などの許可。技人国では原則利用できません。
  2. 個別許可
     → 特定の副業・アルバイト内容について、入管がケースごとに認めるもの。
     例:本業がITエンジニアで、副業として週末に外部のプログラム開発を行う場合。

技人国ビザ保持者が副業を行う場合は、この「個別許可」が必要になります。

社内副業や兼務の扱い

  • 同じ会社の中で部署を兼務する場合(例:経理+人事)は資格外活動許可は不要。
  • ただし、本業務が「技人国に該当しない単純作業」に偏ると更新不許可のリスクがあるため、業務設計には注意が必要。

社内規程との整合性

  • 資格外活動許可があっても、会社の就業規則で副業が禁止されている場合は不可
  • 企業側は、労務管理の観点から副業の有無を把握し、過重労働やリスク回避のためにルールを明確にしておくことが望ましい。

まとめると、技人国ビザ保持者は「本業以外で報酬を得るには個別の資格外活動許可が必須」であり、許可なしでのアルバイト・副業は重大な資格違反となります。

技人国ビザに英語・日本語の言語要件はある?

技人国ビザの取得にあたり、法律上は英語力や日本語力といった言語要件は設けられていません。 つまり、入管法上の要件を満たしていれば、TOEICやJLPTのスコアを証明する必要はありません。

ただし、実務レベルでは企業が外国人に求めるスキルとして 日本語力や英語力が事実上の必須条件 になるケースが多いため、申請時にも説明資料として提示すると審査がスムーズになります。

在留資格としての要件

  • 技人国ビザは「学歴・職歴の関連性」「専門性」「給与水準」「企業の安定性」といった条件が審査の対象であり、言語能力の有無は直接の要件には含まれていません。
  • したがって、JLPT(日本語能力試験)の合格証やTOEICスコアは必須ではない ということです。

実務要件としての日本語力・英語力

とはいえ、実際の就労環境では言語スキルが重視されます。

  • 日本語力
     顧客対応、社内コミュニケーション、契約書の理解などのために必要。N2以上が目安とされることが多い。
  • 英語力
     外資系企業、海外との取引や営業を行う場合に重視される。TOEICやIELTSスコアを求められることもある。

入管審査での扱い

  • 入管は「外国人が業務を遂行できる能力があるか」を確認する際に、言語スキルを補強資料として評価 する場合があります。
  • 例:
     通訳・翻訳業務 → JLPT合格証や英語試験スコアを提出すると有利
     海外営業 → 英語力の証明があると説得力が増す

書類での提示方法

  • 履歴書や職務経歴書に言語スキルを明記
  • 語学試験のスコア証明書を添付
  • 実務経験(海外勤務歴や通訳経験)を証拠書類で示す

ポイントは、言語力そのものは法的要件ではないが、実務適性の証明として提出すると審査官に安心感を与える ということです。

業界別の該当性ガイド:IT/製造/商社・小売/宿泊・外食

技人国ビザは「業界」ではなく「従事する業務内容」で審査されます。しかし、業界ごとに審査で指摘されやすいポイントやグレーゾーンが存在します。ここでは、主要4業界について典型業務と注意点、そして申請書類に盛り込むべき工夫を整理します。

IT業界

✅ 認められやすい業務

  • システム設計・開発(要件定義、設計、プログラミング、テスト)
  • ネットワーク構築・運用設計
  • AI/データサイエンス関連の研究開発
  • 情報セキュリティ、システム監査

⚠️ グレーゾーン

  • ヘルプデスク、PCキッティング → 設計支援と一体なら可、単純設定作業が主なら不可
  • ITサポート → 問題解決に専門知識を要すか否かが審査ポイント

📄 書類での工夫

  • 職務記述書で「開発工程のどの部分を担当するか」を明示
  • ユーザーサポートが従業務であることを比率で示す(例:設計80%、サポート20%)

製造業

✅ 認められやすい業務

  • 製品設計(機械設計、回路設計、CADを用いた設計業務)
  • 研究開発(材料研究、新製品開発、実験・検証)
  • 品質保証(統計的手法を用いた品質分析)

⚠️ グレーゾーン

  • 工場ライン作業、組立、単純な検査 → 審査上は不可
  • 技術者が試作品の検証を兼務する → 主業務が設計であることを理由書で補強すれば可

📄 書類での工夫

  • CADデータや研究テーマの概要を補強資料に添付
  • 業務フロー図で「設計・研究」が主であることを可視化

商社・小売業

✅ 認められやすい業務

  • 海外営業(外国語での交渉、契約書作成)
  • 輸出入管理(通関書類作成、海外取引先との折衝)
  • バイヤー(海外製品の仕入れ、マーケット調査)

⚠️ グレーゾーン

  • 店舗での接客・販売 → 単純労働の比率が高いと不可
  • カスタマーサポート → 外国語対応が主であれば可、単なる案内業務だと不可

📄 書類での工夫

  • 海外取引件数や外国語での業務比率を明示
  • 契約交渉や貿易業務が主業務であることを理由書で強調

宿泊・外食業

✅ 認められやすい業務

  • ホテルフロントでの多言語対応
  • 外国人観光客向けのイベント企画・運営
  • 海外旅行代理店との調整、予約管理

⚠️ グレーゾーン

  • 配膳、清掃、調理補助 → 単純作業が主なら不可
  • フロント業務を行いながら清掃も兼務 → 「主=フロント」であることを比率で明示すれば可

📄 書類での工夫

  • 業務分掌表で「外国語対応や企画業務が主」と記載
  • 職務記述書に「接客補助は従業務である」と明示

まとめ

  • IT・製造業界 → 「設計・研究・開発」が主業務であることを立証する
  • 商社・小売業界 → 「海外取引・外国語業務」が中心であることを可視化する
  • 宿泊・外食業界 → 「語学力を要する業務」が主であり、単純作業が従であることを明示する

どの業界でも「主=専門的業務」「従=補助業務」の比率を 数値や業務フローで示す ことが、合否を分ける最大のポイントです。

技術・人文知識・国際業務ビザ申請チェックリスト

技人国ビザの申請は、必要書類を集めて提出するだけでは不十分です。職務内容・書類・スケジュール・企業体制・本人の在留状況 まで多角的にチェックすることが、許可率を高めるポイントになります。以下のリストを使ってセルフ診断してみましょう。

① 職務適合チェック

  • 学歴や職歴と業務内容に関連性があるか
  • 主たる業務が「知的・専門的業務」で、単純作業は従になっているか
  • 業務比率が 80%以上専門的業務になっているか
  • 職務記述書や業務フローで専門性を説明できるか

② 書類チェック

  • 会社登記事項証明書は最新か
  • 決算書・納税証明書を揃えているか
  • 雇用契約書に給与・勤務時間・職務内容が明記されているか
  • 賃金規程や同職比較表で給与の公平性を示せるか
  • 本人側の納税証明書・住民票に不備はないか
  • 理由書で関連性・専門性・待遇を整理しているか

③ スケジュール逆算

  • COEは入国希望日の3か月以上前に申請準備しているか
  • 在留資格変更は在留期限を超過しないように申請しているか
  • 在留期間更新は期限の3か月前から申請可能であることを把握しているか
  • 書類収集や翻訳作業にかかる日数を見込んで逆算しているか

④ 届出・運用チェック

  • 転職時に14日以内の届出をしているか
  • 契約終了時の届出を行っているか
  • 転職後は就労資格証明書を取得しているか
  • 副業・アルバイトは資格外活動許可を取得しているか
  • 社会保険や税金を滞納していないか

⑤ 企業体制チェック

  • 会社が社会保険に加入しているか
  • 過去に入管法違反や不許可歴がないか
  • 赤字決算の場合、理由を説明する補足資料を用意しているか
  • 新設法人の場合、事業計画書や資金計画を整えているか

⑥ 本人側の在留状況チェック

  • 資格外活動違反やオーバーステイ歴がないか
  • 税金・年金を滞納していないか
  • 住所届出・在留カード更新に不備がないか
  • 交通違反や軽犯罪を含め、素行に問題がないか

⑦ 補強資料の準備チェック

  • 職務記述書(ジョブディスクリプション)を準備しているか
  • 業務フロー図や成果物サンプルで専門性を補強しているか
  • 教育・研修・キャリアプランを提示しているか
  • 語学力や資格の証明書を添付しているか

⑧ コミュニケーション・運用チェック

  • 申請者本人に在留資格の範囲を説明しているか
  • 配属部署の上司が資格の制限を理解しているか
  • 転職や配置転換時の社内フローを整えているか
  • 更新時に必要な資料を普段から整理・保管しているか

このチェックリストで、申請漏れ・説明不足・届出忘れ・企業体制の不備 を網羅的にチェックできます。特に「関連性の説明」「給与の公平性」「届出遵守」「素行管理」は、審査で不許可になりやすいポイントです。申請前に必ず一通り確認しましょう。

まとめ:合否を分けるのは「職務設計×可視化」

技人国ビザの審査は、単なる形式チェックではなく、「申請者が本当に専門的・知的業務に従事するのか」 を総合的に判断するプロセスです。ここまで解説したとおり、技術・人文知識・国際業務ビザの成否は、職務設計の的確さと、専門性を可視化する書類準備 にかかっています。

  1. 職務設計の的確さ
     ― 主業務が専門的・知的活動であることを明確にし、単純作業は補助にとどめる。
     ― 学歴・職歴との関連性を意識して、業務内容をマッチングさせる。
  2. 専門性を可視化する書類準備
     ― 職務記述書、業務フロー図、成果物例を用意して「専門性」を示す。
     ― 理由書で関連性・待遇・企業体制を論理的に整理し、疑念を残さない。

当事務所では、技人国ビザの申請を専門とする行政書士が、初回無料でご相談を承っております。

✅ 全国対応・オンライン相談可能(Zoomなど)
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