Q&A
興行ビザに関するよくある質問
興行ビザはどんなケースで必要になりますか?
公演・ライブ・コンサート・ダンス・演劇・お笑い・ファッションショー・サーカス・プロスポーツ試合・モデル撮影(商業用途)・映画/CM/テレビ番組の出演・商業用レコーディングなど、観客向けの出演・実演や商業制作の撮影/収録で報酬が発生する活動は、原則として在留資格「興行」の対象になります(COE=在留資格認定証明書経由の来日を含みます)。
外国人タレントを日本に呼びたいのですが、何から始めればよいですか?
まずは 契約書と出演内容の確定 が第一歩です。
そのうえで、活動区分(公演=1号/スポーツ大会=2号/撮影=3号)を判断し、必要書類を揃えます。申請区分を誤ると不許可になるリスクが高いため、専門家に確認して進めることを強くおすすめします。当事務所では区分判定から資料整備まで一貫対応します。
単発イベントでも申請できますか?
はい、可能です。単発公演の場合は 公演スケジュール・契約内容・報酬額 を明確にすることが重要です。
複数名を同時に招聘することはできますか?
可能です。個々の出演者ごとに書類は必要ですが、同一イベント・同一契約内容の場合は 団体やグループでまとめて申請できます。審査は個々の出演者ごとになります。また、グループの構成・役割、スケジュールや契約書の整合性、主催者の管理体制をしっかり示すことが求められます。
当事務所では、グループやチーム単位での招聘案件にも対応しており、パッケージ化して効率的に進められるようサポートします。
複数の施設で公演やイベントを行う場合、どうなりますか?
興行ビザは出演する施設ごとに要件を満たしている必要があります。施設の収容人数、用途区分(風営法該当外か等)、運営体制などが、それぞれの施設ごとに求められる要件をクリアしているかを立証する必要があります。
チャリティーイベントで無報酬でも興行ビザは必要ですか?
はい、報酬の有無に関わらず、観客向けの公演や興行活動であれば興行ビザが必要です。無報酬であっても、観客を対象にした活動は「活動の形態として興行」に該当するため、正しい在留資格の取得が必要となります。
在留中に新たに追加公演やTV出演が決まった場合はどうすればよいですか?
原則として、当初申請時に認められた契約内容・活動範囲を超える場合は、入管に事前に活動変更の届出または追加申請が必要となります。当初の許可範囲外の活動は資格外活動に該当し得るため、強制退去や再入国禁止などのリスクがあります。また、ビザの更新や変更が不許可になる可能性もあります。
アマチュアスポーツ選手の招へいは興行ビザでできますか?
原則、アマチュア選手は企業宣伝や競技参加等の目的であれば特定活動ビザ(6号)の対象となるのが一般的です。プロ契約に基づく試合等は興行(2号)が想定されます。
外国企業が日本でドラマ・映画・CM撮影を行う場合、俳優やスタッフにもビザは必要ですか?
はい、外国企業が日本で商業目的の撮影を行う場合、報酬が本国から支払われる形式であっても、実質的に日本での活動に当たるので、興行ビザが必要です。報酬の支払元や活動期間に関わらず、原則として短期滞在ビザでは対応できません。報道目的の取材等は「報道」や短期滞在(報道)が該当し得ますが、テレビ番組制作など報道以外は興行扱いとなるのが通常です。
芸術ビザ(在留資格「芸術」)との境界線は?
技術・人文知識・国際業務(技人国)との境界線は?
企業のマーケ・広報・制作管理・配信オペレーション等の“裏方オフィスワーク”は、仕事内容により技人国が適切です。対して、舞台・カメラ前での出演/実演や商業用の撮影現場での実演は「興行」です。テレビ局や制作会社の常勤スタッフとしての編成/広報/営業は通常「技人国」です。
在留資格「興行」の主な取得要件は?
主に下記になります。
- 活動の適合性:公演・撮影・スポーツ等の具体的スケジュール、会場・収録場所、観客の有無、演目や役割を明示。
- 契約・報酬の適正:出演契約・招聘契約、報酬額と支払条件、交通・宿泊等の負担区分。
- 出演者の実績:過去の出演歴・受賞・メディア掲載などの客観資料。
- 受入機関の体制:登記事項、財務、管理体制、風営法非該当施設の手配、控室等の基準充足。
- 遵法性:過去の在留履歴・交通/刑事前歴の有無・納税状況の順守。
映画・CMの撮影で、海外の撮影スタッフを呼ぶ場合も興行ですか?
商業目的の収録・録音・録画に従事するために来日する撮影監督・カメラ・録音・照明スタッフは、一般に興行(3号)が対象です(タレントを伴わなくても同様)。具体的にどのような活動を行うかによって別設計が適切な場合もあるため、早めの区分確認をおすすめします。
K-POPアーティストや海外アイドルを初めて招聘します。特に気をつける点は?
①区分の誤り防止(1号イ/ロ/ハ・2号・3号)、②施設要件(風営法非該当・収容定員・避難導線・控室)、③契約・報酬の明確化、④スケジュールの整合性(仕込み/リハ/本番/移動)、⑤運営体制(警備・救護・保険)、⑥実績資料(海外での活動実績・音楽配信成績等)が重要です。東京都等の都市部では施設要件チェックも厳格です。
インフルエンサーやYouTuberなど“ネット配信のみ”の方を日本に呼び寄せできますか?
はい、個人の活動状況次第で可能です。インターネット上で行われた活動実績や知名度を立証する必要があり、芸能活動を行う能力を有しているか否かが審査されます。
「出演者用の控室」はどんな基準ですか?
出演者が一般客と動線を分離して安全に待機・着替え・休憩できる専用スペースを指します。鍵付き/施錠管理、男女別の配慮、警護・プライバシー確保が求められます。簡易スペースや共用通路の転用は不適切と判断されやすいです。
申請書の「外国人の実績証明」は重要ですか?
重要です。過去の出演実績・受賞・チャート/再生数・メディア掲載・招致実績など、第三者で検証可能な資料を積み重ねるほど許可の安定度が増します。リンク一覧・新聞/雑誌の紙面コピー・公式配信のスクリーンショット等を体系化して提出します。
振付師を招聘します。本人は出演しませんが、興行ビザになりますか?早めに帰国予定でも取得できますか?
出演せずとも公演制作に直接関与する振付・演出は、内容により興行(3号:制作・録音録画等)が検討対象です。リハーサル期間のみ在留し本番前に帰国する設計も可能ですが、契約期間・スケジュールと整合した在留期間の指定が必要です。
海外ミュージシャンは専属マネジメント契約だけで呼べますか?
招聘(主催)側との出演契約が必要です。マネジメント契約のみでは、公演・報酬・会場・日程等の具体性が不足しがちです。主催者=招聘機関との契約を整え、報酬・費用負担・安全管理を明確にしましょう。
留学生ですが、卒業後に芸能プロと契約予定です。留学→興行に変更できますか?
在学中は「学業専念」が目的のため、本格的な出演・実演を前提とした変更は原則困難です。就労は資格外活動許可(週28時間以内/長期休暇は学校規程)に限られ、ツアー出演や恒常的な実演は対象外です。
卒業後は、出演契約・活動計画・会場(施設)要件・報酬・受入機関の体制が書面で整い、上陸基準に適合する場合、「留学→興行」への在留資格変更が最短ルートになり得ます。 ただし、実績が薄い方は役割設計や主催者の信用・公演規模で補強が必要です。準備が間に合わない、開始時期が先/直前といったケースでは、
- 在外でCOE(認定証明書)→査証→入国、または
- 特定活動(継続就職活動)で在留しつつ資料整備→興行へ変更(※特定活動中の出演は不可)
といった代替ルートを検討します。外国人本人の実績・必要性の要件があるため、難易度は高くなります。
当社には「興行の業務を3年以上経験した者」がいません。どうすればよいですか?
制作・安全管理に関する外部実務者(制作会社・舞台監督・セキュリティ等)と連携し、主催者側の体制補強を図るのが現実的です。過去の実績が乏しい場合は、運営計画・保険加入・リスクアセスメントを数値・書面で示し、信頼性を補強します。
外国人芸能人が無料試写会で舞台挨拶だけ行います。興行ビザは必要ですか?
報酬の有無に関わらず、観客を前に出演・挨拶・パフォーマンスを行う場合は興行に該当するのが一般的です。招へい目的・会場要件・出演内容を踏まえ、興行(3号:宣伝・PR 含む商業イベント)で設計します。
短期滞在ビザ(いわゆる観光ビザ)と興行ビザの違いは?
短期滞在は報酬を伴う就労不可で、商談・打合せ・観光等が対象です。実演・出演・撮影など就労性のある行為は興行ビザが必要です。ビザ免除国での無査証入国でも、出演行為は不可なのでご注意ください。
複数イベントをまたぐツアーは、1回の申請でまとめられますか?
同一の招聘機関が主催または実質的に関与し、契約・報酬・スケジュールを一体で示せる場合は、一括申請が可能です。会場・日程・演目・移動計画・控室・安全管理を一覧表(行程表)で提出します。
家族帯同は可能ですか?
はい。配偶者・未成年の子は家族滞在ビザで帯同可能です。生計要件・同居の実態、公演期間と在留期間の整合性が確認されます。
契約書やスケジュールは、どの程度の詳細さが必要ですか?
契約書やスケジュールは、具体的かつ数値で表現されていること がポイントです。
例:
- 報酬 → 「出演1日あたり〇円 × 〇日間=合計〇円」
- スケジュール → 日付・会場名・公演時間を明確に記載
曖昧な記載は補正(追加説明)の対象となり、不許可リスクが高まります。
興行ビザの在留期間はどのくらいですか?
案件に応じて3か月・1年・3年・5年のいずれかが指定されます。単発ツアーや短期撮影は3か月が多いです。複数公演を行うなど継続的活動の場合は、通常は複数公演すべての活動内容を証明し、申請時に活動予定期間を考慮した在留期間の許可を求めることになります。在留期間更新では、契約継続・実績・コンプライアンスが確認されます。
興行ビザにはどんな書類が必要ですか?
活動内容や申請区分によって必要書類は異なりますが、一般的には以下が必要です。
- 契約書(出演契約書、招聘契約書など)
- 公演・試合・撮影等のスケジュール
- 会場の概要資料(図面、収容人数証明、運用規程など)
- 招聘機関の登記事項証明書、会社案内、決算書
- 報酬額証明(契約書記載または支払証明)
- 過去の活動実績(出演歴、受賞歴、メディア掲載)
- 外国語の書類は日本語訳を添付
興行ビザの上陸基準1号イ/ロ/ハ・2号・3号のどの区分で申請するかをまずは確定させることが最初のステップです。
申請先はどこになりますか?
在留資格の変更・更新など国内申請は、原則として申請人の居住地を管轄する地方出入国在留管理局(支局・出張所を含む)に提出します。
在外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請=COE)は、所属機関や招へい人の所在地を基準に提出先が決まります。
・身分系ビザ(日本人の配偶者等・家族滞在・定住者 など)
COE(呼び寄せ): 日本側の扶養者/招へい人の住居地管轄
国内申請(変更・更新): 申請人の住居地管轄
・就労系ビザ(技術・人文知識・国際業務/高度専門職/企業内転勤/技能/経営・管理 など)
COE(呼び寄せ): 受入企業(所属機関)の所在地管轄
※「経営・管理」で会社設立前は、事務所(予定地)の所在地管轄が目安。
国内申請(変更・更新): 申請人の住居地管轄(会社所在地が他地域でも原則は住居地)
当事務所は申請取次行政書士として申請代行が可能で、オンライン申請にも対応しています(※一部手続は窓口限定/本局・支局指定あり)。
申請はオンラインでも可能ですか?
はい。出入国在留管理庁のオンラインシステムを利用した申請が可能です 。ただし、利用できるのは、申請人本人(マイナンバーカード所持者に限る)、申請取次行政書士、所属機関の職員、弁護士、登録支援機関の職員、および一部の公益法人や親族、法定代理人などが申請できます。海外からは在留資格のオンライン申請はできません。
申請取次行政書士は、入管への申請取次資格を持つ専門家であり、申請人本人に代わってオンラインで申請手続を行うことができます。
審査期間はどれくらいかかりますか?
ビザの種類や申請内容の複雑さによりますが、一般的な目安は以下の通りです。
在留資格認定証明書交付申請(COE):1〜3か月
在留資格変更許可申請:1〜2か月
在留期間更新許可申請:2週間〜1.5か月
混雑状況や追加資料の要請等で変動します。
興行ビザの場合、受入機関の実績等により要件が緩和されるケースは審査期間は短めの傾向で、COEは2週間〜1カ月以内で許可されることがありますが、審査の迅速化は保証されません。入管の審査には時間がかかる想定で余裕を持ったスケジュールが必要です。
理由書は必ず必要ですか?
理由書は出入国在留管理庁(入管)のホームページでは必須ではありませんが、一体的に説明する理由書は非常に有効です。審査官が短時間で全体像を掴めるため、補正や往復照会の予防に役立ちます。必須ではありませんが、提出を強く推奨します。理由書には以下を盛り込み、審査官が納得できるよう構成します。
- 招聘の必要性(なぜこの外国人を呼ぶのか)
- 公演や試合の社会的意義
- 契約内容の適正性(報酬・地位・期間の整合)
- 活動内容の詳細説明
不許可になった場合、再申請は可能ですか?
可能です。ただし、同じ書類のまま再申請しても許可の可能性は低いです。
不許可通知書を精査し、契約・施設要件・報酬の根拠・理由書 を改善したうえで再申請する必要があります。
安心して前へ進むために
申請取次行政書士による在留資格申請サポート
当事務所は、申請取次行政書士として、依頼者様に代わり在留資格に関する各種申請書類の作成、入国管理局へ申請を代行することが可能です。
これは、ご自身での入管への出頭が不要となる利便性の高い制度であり、多忙な方や遠方在住の方でもスムーズに手続きを進めることができます。
申請取次行政書士とは、出入国在留管理庁に対して在留資格等の申請を「本人に代わって」行うことができる行政書士のことです。
法務省が定めた研修を受講し、所定の効果測定に合格したうえで、入管に届出を行った行政書士に限り、この取次資格が認められています。