Q&A
高度専門職ビザに関するよくある質問
制度の概要・目的
高度専門職ビザとは、どのような資格ですか?
高度専門職ビザは、日本で学術研究や技術活動、経営管理などに従事する外国人を対象にした在留資格です。通常の就労ビザより優遇措置が多く、長期的な在留や家族帯同がしやすい仕組みが整えられています。
制度の目的は?
この制度は、日本が国際的に優秀な人材を呼び込み、経済成長や学術研究の発展を促すために導入されました。外国人が安心して日本で生活・就労できるようにすることが狙いです。
他の就労ビザとの最大の違いは何ですか?
他の就労ビザは活動範囲が限定されていますが、高度専門職は「複合的な在留活動」が認められ、複数の関連業務に従事できます。また永住許可申請が高度人材ポイント70点以上で3年、80点で1年に短縮されるなど、大きな優遇があります。
高度専門職外国人の人数は増えていますか?
入管庁の統計では、申請者数・在留者数とも年々増加しています。特にITや研究分野、グローバル企業の経営層で需要が高まり、日本社会での受入が拡大しています。
種類と区分
高度専門職1号にはどのような種類がありますか?
1号は「学術研究活動(イ)」「専門・技術活動(ロ)」「経営・管理活動(ハ)」の3類型があります。研究者、技術者、経営者などが典型例です
高度専門職1号と2号の違いは?
高度専門職1号は活動内容に制限があり、在留期間も5年固定です。高度専門職2号は活動制限がなくなり、ほぼすべての就労活動が可能で、在留期間も無期限になります。
高度専門職1号から2号へ変更する手続きは?
高度専門職1号ビザで3年以上在留し、引き続き高度専門職の活動を継続している場合に、在留期間が無期限となる「高度専門職2号」への変更が可能です。素行が善良であることや安定した収入・生活基盤があることが条件です。入管へ変更申請を行い、勤務先や納税状況を証明する書類を提出します。
高度専門職2号を取得すれば活動制限はなくなりますか?
はい。高度専門職2号では在留資格の制限がほぼなくなり、他の就労資格で認められる活動も含めて幅広く可能です。永住者に近い柔軟性があります。ただし高度専門職2号の在留資格は、就労を継続することが条件として付与されているため、6か月以上就労活動を行わないと取り消される可能性があります。
申請要件とポイント制
どのような人がポイント制の対象ですか?
博士や修士を持つ高学歴者、高年収の専門職、研究実績豊富な研究者、国際的な経営者などが対象です。70点以上で申請可能です。
ポイント制の評価項目は?
学歴、職歴、年収、年齢、日本語能力、研究実績、表彰歴、勤務先企業の研究比率や規模などが評価対象です。出入国在留管理庁のホームページにポイント計算表が公開されているので、自身のポイント計算をしてみましょう。
学歴とポイントの関係は?
博士は30点、修士は20点、学士は10点が加算されます。短大や専門学校は対象外ですが、一部「告示指定の大学・研修」であれば対象となります。
学歴や職歴が不足している場合でも取得できますか?
高度専門職ビザはポイント制を採用しており、学歴や職歴だけでなく、年収、年齢、研究実績、日本語能力などの様々な項目をポイント化し、合計70点以上を獲得する必要があります 。特定の学歴や職歴がなくても、他の項目で十分なポイントがあれば取得できる可能性がありますが、年収300万円以上という最低条件は必須です 。
複数の学位を持つ場合、加算はどうなりますか?
同じ学歴カテゴリーでの重複加算は不可ですが、異なる分野の加算要素(学歴+研究実績など)は併用可能です。
年収はどのように評価されますか?
申請時の年収見込みや直近の給与証明で評価されます。給与明細、雇用契約書、納税証明が必要です。
最低年収基準は?
原則300万円以上が最低条件です。ただし実際には研究職で500万円以上、経営管理ではさらに高水準が求められる傾向があります。
年収や年齢でポイントが下がり70点未満になるとどうなりますか?
在留資格が直ちに失効するわけではありませんが、更新時に不許可の可能性が高くなります。資格や日本語能力で補点を狙うことが推奨されます。
年齢は若いほど有利なのですか?
若年層は将来の活躍が長期にわたり期待できるため、ポイントが高く設定されています。29歳以下は15点、30代前半は10点など段階的です。
研究実績はどう評価されますか?
査読論文、特許登録、国際会議での発表、外部研究資金の獲得などが評価対象です。客観的な証明資料が必要です。
日本語能力はどのように評価されますか?
日本語能力試験N1は15点、日本語能力試験N2は10点です。ビジネス日本語力を示す試験結果も補足として有効です。
ポイント計算は自己申告で良いですか?
いいえ。必ず証明書類の提出が必要です。提出がなければ加点は認められません。
ポイントが70点に足りない場合の対策は?
日本語試験合格、追加資格取得、研究発表や表彰実績の証明、年収アップなどが有効です。
書類・申請・審査
必要書類は何が必要ですか?
高度専門職ビザの申請には、在留資格変更許可申請書、写真、在留カード、パスポートなどの基本書類に加え、ポイント計算表とその各項目に関する疎明資料が必要です 。具体的には、学歴・職歴・年収・年齢・研究実績などを証明する書類や、日本語能力試験の合格証などが求められます 。海外で発行された学歴証明書や研究実績証明書などは、翻訳や公的認証が必要となる場合があります 。
審査期間はどれくらいかかりますか?
ビザの種類や申請内容の複雑さによりますが、一般的な目安は以下の通りです。
在留資格認定証明書交付申請(COE):1〜3か月
在留資格変更許可申請:1〜2か月
在留期間更新許可申請:2週間〜1.5か月
混雑状況や追加資料の要請があれば、さらに時間がかかる場合があります。
高度専門職ビザの審査は優先的に処理されるため早めに審査されますが、近年では申請件数の増加により、審査にかなり時間がかかっています。
申請先はどこになりますか?
在留資格の変更・更新など国内申請は、原則として申請人の居住地を管轄する地方出入国在留管理局(支局・出張所を含む)に提出します。
在外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請=COE)は、所属機関や招へい人の所在地を基準に提出先が決まります。
・身分系ビザ(日本人の配偶者等・家族滞在・定住者 など)
COE(呼び寄せ): 日本側の扶養者/招へい人の住居地管轄
国内申請(変更・更新): 申請人の住居地管轄
・就労系ビザ(技術・人文知識・国際業務/高度専門職/企業内転勤/技能/経営・管理 など)
COE(呼び寄せ): 受入企業(所属機関)の所在地管轄
※「経営・管理」で会社設立前は、事務所(予定地)の所在地管轄が目安。
国内申請(変更・更新): 申請人の住居地管轄(会社所在地が他地域でも原則は住居地)
当事務所は申請取次行政書士として申請代行が可能で、オンライン申請にも対応しています(※一部手続は窓口限定/本局・支局指定あり)。
申請はオンラインでも可能ですか?
はい。出入国在留管理庁のオンラインシステムを利用した申請が可能です 。ただし、利用できるのは、申請人本人(マイナンバーカード所持者に限る)、申請取次行政書士、所属機関の職員、弁護士、登録支援機関の職員、および一部の公益法人や親族、法定代理人などが申請できます。海外からは在留資格のオンライン申請はできません。
申請取次行政書士は、入管への申請取次資格を持つ専門家であり、申請人本人に代わってオンラインで申請手続を行うことができます。
理由書は必要ですか?
理由書は出入国在留管理庁(入管)のホームページでは必須ではありませんが、申請書類だけでは説明が不十分な場合や、学歴・職歴が要件ぎりぎりの場合、雇用内容と資格要件の関連性を強調したい場合などには、理由書が大きな効果を発揮します。理由書は、申請者や企業の背景、採用の必要性、業務内容の詳細を論理的に説明し、審査官が納得しやすくなるための補足資料となります。
ポイント計算の基準時点はいつですか?
申請時点での条件が基準になります。入国後に条件が変動しても、原則申請時点で判断されます。
不許可になった場合、再申請は可能ですか?
不許可になった場合でも再申請は可能です。ただし、不許可通知書に記載された理由を十分に分析し、改善策を講じることが不可欠です。同じ書類や説明で再申請しても許可の可能性は低いため、追加の証拠資料や業務説明、契約条件の修正などを行った上で、再申請を検討する必要があります。
パートタイム勤務でも高度専門職ビザは取得できますか?
高度専門職ビザの取得には、ポイント計算で70点以上を獲得することに加え、年収300万円以上という最低条件が必須です 。パートタイム勤務でこの年収要件を満たすことは難しい場合が多く、安定性や生計維持能力の観点から不許可となる可能性が高まります。
フリーランスや個人事業主でも取得できますか?
高度専門職ビザの「高度経営・管理分野(1号ハ)」は、日本で事業の経営または管理に従事する活動が対象となります 。フリーランスや個人事業主の場合でも、事業の実態が伴い、経営・管理活動として認められ、契約する会社の状況、契約期間、契約金額などの条件などから、継続性や安定性が認められることが必要です。
雇用・転職・勤務先
転職した場合どうなりますか?
高度専門職1号の在留資格で在留中に転職などで活動内容を変更する場合や所属機関の変更の場合は、在留資格変更許可申請が必要です 。また転職や企業の業績悪化により給与が下がり、ポイントが70点未満に落ち込むと、更新が難しくなるリスクが高まります 。
副業・兼業は可能ですか?
高度専門職1号は本業に支障をきたさないこと、主な活動に関連している範囲であれば可能です。高度専門職2号は制限なく副業できます。副業収入は確定申告や納税義務を守るよう注意してください。
就労できる職種は自由ですか?
高度専門職ビザは、他の就労系ビザに比べて活動制限が大幅に緩和されています 。高度専門職1号では、主たる活動(例:大学での研究)に関連する複数の活動(例:関連事業の経営)を包括的に行うことが認められます 。さらに高度専門職2号を取得すると、高度専門職1号の活動に加えて、就労に関する在留資格で認められるほぼ全ての活動が可能になります 。
優遇措置・家族帯同
高度専門職の優遇措置とは?
長期在留(5年)、永住要件短縮、配偶者のフルタイム就労、親の帯同許可、家事使用人の帯同、入国手続きの優先審査などがあります。
配偶者は働けますか?
はい。一般の「家族滞在」と違い、フルタイムでの就労が認められます。
親を呼べますか?
子どもの養育や要介護など特別な事情がある場合に限り可能です。
配偶者として在留中に離婚した場合は?
配偶者の在留資格は失われます。本人の高度専門職在留には影響しませんが、元配偶者は別の在留資格を取得する必要があります。
更新・永住
在留期間はどのくらいですか?
高度専門職1号は5年固定。2号は無期限です。
高度専門職ビザの更新はいつからできますか?
在留期間満了日の3か月前から更新申請が可能です。期限ぎりぎりでの申請は、不許可や再申請のリスクを高めるため、余裕を持った準備をおすすめします 。
更新時に審査が厳しくなることはありますか?
はい。更新時には審査が厳しくなることがあります。特に、転職後の初めての更新、直近の納税記録や社会保険加入状況に不備がある場合、業務内容や勤務条件が大きく変わった場合などが挙げられます 。給与が下がりポイントが70点未満に落ち込むと、更新が難しくなるリスクが高まるため、日本語能力試験の取得などで追加加点を狙うなど、ポイント維持の努力が重要です 。
育児休業で収入が下がると更新に影響しますか?
事情を説明できれば考慮されます。ただし補足資料の提出が望ましいです。
永住許可に有利な点は?
高度専門職は永住許可の要件が10年から「1年または3年」に短縮されます。
高度専門職から他のビザへ変更した場合、永住要件はどうなりますか?
通常の10年要件に戻り、高度専門職での特例措置は適用されません。
リスク・その他
高度専門職ビザのデメリットはありますか?
高い要件が求められるため対象者が限られること、ポイントが不足すると更新時に不利になることです。
ポイントが下がると即時失効しますか?
即時失効ではありませんが、更新の際に不許可となる可能性があります。加点維持の努力が必要です。
安心して前へ進むために
申請取次行政書士による在留資格申請サポート
当事務所は、申請取次行政書士として、依頼者様に代わり在留資格に関する各種申請書類の作成、入国管理局へ申請を代行することが可能です。
これは、ご自身での入管への出頭が不要となる利便性の高い制度であり、多忙な方や遠方在住の方でもスムーズに手続きを進めることができます。
申請取次行政書士とは、出入国在留管理庁に対して在留資格等の申請を「本人に代わって」行うことができる行政書士のことです。
法務省が定めた研修を受講し、所定の効果測定に合格したうえで、入管に届出を行った行政書士に限り、この取次資格が認められています。