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技人国ビザの不許可理由20選と回避策|技術・人文知識・国際業務の不許可の典型例を行政書士が解説

技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務)は就労系の中核ですが、入管は「疑わしきは許可せず」の姿勢で厳格に審査します。学歴・職歴と職務の関連性不足、単純作業の比重、同職比較での低待遇、社保・税の不整合、契約や書類の不一致などは不許可の典型です。

この記事では、実務で頻発する不許可理由20選を取り上げ、背景/入管の見方/回避策を行政書士の視点で詳しく解説します。更新時の注意点とセルフチェックの観点もまとめています。

目次

技人国ビザの不許可理由20選と回避策

以下の20項目は、申請・更新の現場で実際に問題化しやすい“落とし穴”です。ひとつでも心当たりがあれば、改善・補強の計画を立てることで、やり直しや不許可のリスクを大きく減らせます。

❶ 学歴・職歴と職務の関連性不足

技人国審査の中核は「活動内容とバックグラウンドの整合」です。専攻・職歴と職務の橋渡しが弱いと、専門性が疑われやすくなります。
技人国ビザで最も多い不許可理由の一つが「学歴や職歴と申請する職務が結びつかない」というケースです。特に専攻分野と業務分野が異なる場合や、職歴の証明が不十分な場合に不許可リスクが高まります。

  • 事例:経済学専攻なのに、ITエンジニアで申請 → 関連性が不明確と判断され不許可。
  • 入管の見方:学歴や職歴と職務が無関係だと「単純労働を隠しているのでは」と疑われやすい。
  • 回避策:履修科目・研究内容・職務経験を整理し、理由書に「専攻と業務のつながり」を具体的に記載。

❷ 単純作業の割合が高い

「名目は専門職、実態は単純作業」というギャップは最も厳しく見られます。職務配分の比率を数値で示す準備が有効です。
技人国ビザは知的・専門的業務が対象であり、単純作業が主となる業務は認められません。特にITや製造業では「実態がサポートやライン作業だった」というケースが多発しています。

  • 事例:システムエンジニアで申請したが、実際はPCセットアップやヘルプデスク中心。
  • 入管の見方:職務比率で判断。専門的業務が7〜8割以上でなければ不許可の可能性大。
  • 回避策:職務記述書で「主業務=設計・開発」と明示し、比率を数値化。

❸ 給与水準が低い

同一価値労働・同一待遇の観点は厳格に見られます。最低賃金を満たすだけでは足りず、同職の日本人基準が物差しになります。
外国人だからといって低賃金で雇用することは認められません。日本人と比べて給与が著しく低い場合、不許可の典型例となります。

  • 事例:日本人エンジニアは月給30万円、外国人は22万円 → 同等待遇違反で不許可。
  • 入管の見方:「最低賃金以上」ではなく「同職の日本人と同等以上」であることが基準。
  • 回避策:給与規程・同職比較表を添付して待遇の公平性を証明。

❹ 納税・社会保険未加入

ガバナンスの欠如は信用低下に直結します。社保未加入や税の滞納は、他の要素が良くても足元を崩します。
企業が社会保険に加入していなかったり、申請者本人が税金を滞納していると、それだけで不許可になることがあります。

  • 事例:会社が社会保険に未加入、本人が住民税を滞納。
  • 入管の見方:納税・社保は信頼性の基準。未加入・滞納は強いマイナス要素。
  • 回避策:加入証明・納税証明を必ず添付。不備は解消後に申請。

❺ 企業の財務基盤が脆弱

「雇用の継続可能性」が問われます。赤字自体は即不許可ではありませんが、説明なき赤字はリスクを跳ね上げます。
雇用主の財務基盤も審査対象です。設立間もない企業や赤字続きの会社は、外国人を継続雇用できるか疑問視されやすく、不許可になるリスクが高まります。

  • 事例:設立2年目、赤字決算で説明不足 → 継続性に疑念を持たれ不許可。
  • 入管の見方:赤字でも即不許可ではないが、理由や改善計画がないと不利。
  • 回避策:事業計画書・資金調達証明・改善策を補強資料として提出。

❻ 雇用契約の不備

契約書は“一次証拠”です。曖昧な契約は、体制や意思の弱さと受け取られます。契約内容が曖昧なまま申請すると不許可リスクが高まります。

  • 事例:契約書に業務内容が記載されていない。契約期間が6か月のみ。
  • 入管の見方:雇用契約が不明確だと「安定雇用の意思がない」と判断される。
  • 回避策:契約書に職務・勤務地・給与・勤務時間を明記し、1年以上の契約を基本に。

❼ 申請書類の不一致

数字・肩書・日付のズレは、それだけで信頼を失います。提出前の“突合”が鉄則です。
書類間で内容が食い違うと、虚偽申請の疑念を招きます。

  • 事例:雇用契約書の給与額は28万円、理由書には30万円と記載。
  • 入管の見方:数字の矛盾=虚偽と疑われる。
  • 回避策:提出前にすべての書類を突き合わせ、一貫性を徹底。

❽ 在留状況の不良

過去のルール違反は現在の信頼性に直結します。反省と再発防止策の提示が必要となります。
過去の在留状況も審査対象です。資格外活動違反やオーバーステイ歴があると、それだけで不許可になることがあります。

  • 事例:留学ビザ時代に無許可でアルバイト。
  • 入管の見方:過去の違反歴は「再発の可能性あり」と判断される。
  • 回避策:理由書で反省と再発防止策を具体的に説明。

❾ 届出漏れ(転職・契約終了)

届出の義務を「知りませんでした」は通用しません。届出は在留管理の基本動作です。
転職や契約終了を入管に届け出ないまま申請すると不許可になることがあります。

  • 事例:転職後14日以内の届出を怠り、更新で発覚。
  • 入管の見方:届出漏れ=在留資格の不適正管理と判断される。
  • 回避策:14日以内に必ず届出。就労資格証明書を取得するとより安全。

❿ 書類の形式ミスや不足

形式は「入口の要件」です。ここでつまずくと審査の土俵に乗れません。
提出書類の形式的な不備も、不許可や不受理につながります。

  • 事例:写真サイズが規格外、納税証明書の添付忘れ。
  • 入管の見方:基本要件を満たさない申請は受理されず、不許可の対象に。
  • 回避策:入管HPで最新版を確認。行政書士によるチェックを推奨。

⓫ 理由書の不十分さ

理由書は“審査官へのプレゼン資料”です。事実・数字・因果で語ることが信頼を生みます。理由書が抽象的で説得力を欠くと、不許可につながります。

  • 事例:「本人は優秀で役立つ」など曖昧な理由書。
  • 入管の見方:感情的な表現ではなく、事実と論理に基づく説明を求められる。
  • 回避策:学歴・職歴・職務内容・待遇・企業体制を数値や実績で具体的に記載。

⓬ 勤務実態と契約内容の乖離

契約と現場がズレていると、一気に“虚偽”の疑いが強まります。実態に合わせて文書を更新しましょう。
契約と実態が一致しない場合、虚偽申請とみなされやすいです。

  • 事例:契約はエンジニアだが、実際は雑務や清掃業務を兼務。
  • 入管の見方:実態と契約が異なる=不正と判断されるリスクが高い。
  • 回避策:勤務実態を正確に契約書・理由書に反映。

⓭ 短期契約の繰り返し

継続性は在留の安定に直結します。短期更新の連続は“試用的雇用”と受け取られがちです。
短期契約を繰り返すことは、安定した雇用と見なされません。

  • 事例:6か月契約を更新し続けている。
  • 入管の見方:雇用が不安定と判断され、不許可の原因に。
  • 回避策:原則1年以上の契約に切り替え、安定雇用を示す。

⓮ 受入企業の雇用実績不足

「初めての外国人雇用」自体は問題ではありませんが、教育・管理の設計が求められます。
外国人雇用の経験がない企業は「体制不足」とみなされやすいです。

  • 事例:初めて外国人を雇用する企業が体制説明なしで申請。
  • 入管の見方:教育・管理体制の有無を重視。
  • 回避策:教育計画書や管理マニュアルを添付して補強。

⓯ 就業規則や給与規程の不整備

社内規程は待遇の客観的根拠です。規程不備は“恣意的運用”の疑いに直結します。
労務管理体制が未整備だと、待遇の公平性を証明できません。

  • 事例:給与規程が存在せず、給与水準が恣意的。
  • 入管の見方:体制の不備は「継続的雇用に不安あり」と見られる。
  • 回避策:就業規則・給与規程を整備し、添付資料とする。

⓰ 虚偽申請(偽造・虚偽記載)

虚偽や偽造は“即退場”の重大違反となり、将来の申請にも大きな悪影響を及ぼします。

  • 事例:学歴証明書の偽造、職歴を過大に記載。
  • 入管の見方:虚偽は重い違反で、再入国禁止になるケースもある。
  • 回避策:必ず正確な書類を提出。虚偽は絶対に避ける。

⓱ 素行不良(税金未納・交通違反等)

生活面のコンプライアンスも審査対象です。小さな積み重ねが不利に働きます。
素行不良も不許可理由になります。軽微な違反でも積み重なると不利です。

  • 事例:税金未納、交通違反の累積。
  • 入管の見方:法令遵守意識の低さを疑われる。
  • 回避策:未納は解消。違反歴は改善策を理由書に記載。

⓲ 居住実態の不明確さ

住所情報は在留管理の基礎です。帳票と実態の不一致は信頼低下につながります。
居住実態が不明確だと「在留管理に支障がある」と判断されます。

  • 事例:住民票と実際の住所が異なる。
  • 入管の見方:住所の不一致は信頼性を損なう。
  • 回避策:住所変更届を提出し、住民票を最新に。

⓳ 派遣・請負の不適切運用

契約形態と実態の齟齬は即アウトの領域です。派遣・請負は労働法・入管法の双方で整合を求められます。
偽装請負や違法派遣と判断されると即不許可です。

  • 事例:請負契約だが実態は派遣労働。
  • 入管の見方:契約内容と実態が一致しているか厳しく確認。
  • 回避策:契約書で業務範囲・成果物を明確に記載。

⓴ 更新時の説明不足

更新は“前回の答え合わせ”です。環境変化や数字の悪化には、理由と改善計画の説明が不可欠です。
更新時も厳しいチェックが行われます。赤字決算や体制不備を説明しないと不許可の可能性があります。

また転職後の初めての更新の場合には、新規取得と同様に審査が行われます。

  • 事例:赤字が続いているのに補足説明なし。
  • 入管の見方:経営継続性に疑念があれば不許可。
  • 回避策:理由書で赤字の理由や改善策を丁寧に説明。

まとめ:不許可リスクを下げるには「準備と説明」がカギ

技人国の審査は、形式チェックに見えて本質は合理的な説明と客観的証拠の積み上げです。先回りの準備が最短の近道になります。
技人国ビザの審査は、申請者・企業の体制や素行まで徹底的に確認されます。ほんの小さな不備が「疑わしい」と判断され、不許可につながります。

  • 学歴・職歴と職務内容の関連性を立証する
  • 日本人と同等以上の待遇を提示する
  • 書類の一貫性と正確さを確保する
  • 過去の不備がある場合は改善策を理由書で説明する

この4点を押さえることで、不許可リスクを大幅に下げられます。今回の20選をセルフチェックすれば、リスクを事前に回避できます。事前準備と補強資料の添付が何よりの予防策です。

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