海外にいる外国人配偶者や子を日本へ呼び寄せたいと考えている方にとって、在留資格の選定や必要な手続きは複雑に感じられるものです。本記事では、外国籍の配偶者や子を日本に呼び寄せて一緒に生活するために必要な在留資格や、具体的な申請の手続き、注意点について詳しく解説します。
短期滞在と在留資格の違い
短期滞在(観光・親族訪問など最長90日)
外国人の配偶者や子を一時的に日本に呼び寄せる場合には在留資格「短期滞在」が適用されます。これは主に観光や短期の親族訪問を目的とした在留資格であり、原則として90日以内の滞在が許可されます。この間に結婚式を行ったり、親族との対面を果たしたりすることは可能ですが、就労や長期的な生活を送ることはできません。
査証免除国の方の場合
一部の国(例:アメリカ、韓国、オーストラリア等)の国籍を持つ方は、日本への短期滞在に際してビザ(査証)が不要な「査証免除制度」が適用されます。ただし、これは観光や商用、親族訪問など短期間の滞在に限られ、長期滞在や在留資格の変更には「在留資格認定証明書(COE)」の取得が必要です。
査証免除対象外の国の方の場合
査証免除対象外の国の方は、日本入国前に在外公館(日本大使館・領事館)で短期滞在ビザの取得が必要です。提出書類には招へい理由書、滞在予定表、身元保証書、滞在費負担の証明などが求められることが多く、書類の準備に時間がかかることもあります。
呼び寄せのための在留資格の種類(ケース別)
① 呼び寄せる方が日本人の場合
外国籍の配偶者や子を呼び寄せる方が日本人である場合、配偶者または子は在留資格「日本人の配偶者等」を取得することになります。この資格は、日本人と法的婚姻関係にある外国人配偶者および、日本人の実子・特別養子が対象です。申請の際は婚姻の真実性、生活基盤、家族構成を裏付ける資料の提出が必要です。
② 呼び寄せる方が永住者または特別永住者の場合
永住者または特別永住者が外国籍の配偶者や子を呼び寄せる場合は、在留資格「永住者の配偶者等」が適用されます。この資格も婚姻関係の真実性、同居の実態、収入や住居などの生活基盤が審査のポイントです。子の場合は、原則として日本で出生し、継続して日本に在留していることが必要です。
③ 配偶者や子が在留資格「定住者」を取得するケース
外国人配偶者の連れ子を呼び寄せたい場合や、過去に日本人と婚姻していたが離婚後も日本に在留したい場合には、在留資格「定住者」が認められる場合があります。連れ子の場合、親の実子であり未成年(18歳未満)かつ未婚であること、継続的な扶養関係、同居予定の有無などが総合的に判断されます。
18歳以上の連れ子を日本に呼び寄せたい場合は、「短期滞在」、「留学」や就労系の在留資格など、目的に応じた在留資格を申請する必要があります。
④ 呼び寄せる方が就労ビザを持つ場合
呼び寄せる方が「技術・人文知識・国際業務」等の就労系の在留資格を持っている場合、配偶者や子は在留資格「家族滞在」を取得して日本に滞在することが可能です。この資格では、家族は原則として就労できませんが、資格外活動許可を取得することで一定の就労が可能になります。
⑤ 配偶者や子本人が別の在留資格を取得する場合
子本人が日本で就労する予定がある場合は「技術・人文知識・国際業務」等の就労系の在留資格、学業目的であれば「留学」の在留資格などを取得することにより、親の在留資格に依存せずに日本に在留することが可能です。
呼び寄せの流れと手続き
STEP 1:在留資格認定証明書(COE)の申請
外国にいる配偶者や子を日本に呼び寄せるためには、まず日本国内にいる申請者が「在留資格認定証明書(COE)」を入管に申請します。これは将来の在留資格の審査を事前に行い、入国管理局が適格と認めた場合に発行される証明書で、在外公館でのビザ申請に必要となります。
STEP 2:日本大使館・領事館でビザ(査証)申請
在留資格認定証明書(COE)を取得後、外国人配偶者または子は、自国の日本大使館または領事館でビザ(査証)申請を行います。通常、在留資格認定証明書(COE)があれば比較的スムーズに発給されますが、追加書類を求められることもあります。査証の発給には数日〜2週間ほどかかるのが一般的です。
STEP 3:入国後の手続き
日本に入国後、空港で在留カードが交付されます。その後、住民登録、市区町村での国民健康保険への加入、年金の届出など、日本での生活に必要な手続きを進めます。子が学校に通う場合は、就学手続きや保育所の申し込みなども行います。
配偶者と子を同時に呼び寄せる場合
❶ 日本人の実子・特別養子の場合
子が日本人の実子または特別養子である場合には、在留資格「日本人の配偶者等」を取得することが可能です。国籍や戸籍の確認、認知の有無などが必要です。
❷ 外国人配偶者の連れ子の場合
連れ子が日本人との血縁関係がない場合は、在留資格「定住者」を取得する必要があります。この場合、家族としての実態、生活環境、扶養体制を十分に整えたうえで申請することが望ましいです。
成功する申請のポイント
- 書類の正確性と整合性:情報の不一致や不足は審査に影響します。丁寧な確認が必要です。
- 生活基盤の証明:収入、居住環境、家族構成など、安定した生活が可能なことを証明しましょう。
- 婚姻の真実性:出会い・交際・結婚の経緯を説明し、真実の婚姻関係であることを証明することが重要です。
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