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転職・配置転換での技人国ビザの注意点|届出義務と就労資格証明書の活用法

目次

はじめに|なぜ「転職・配置転換」で注意が必要なのか

日本で働く外国人に最も多く利用されている就労ビザのひとつが「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国ビザ)です。エンジニア、通訳、経理、人事、貿易実務など、ホワイトカラー系の専門職で広く活用されています。

しかし、技人国ビザは 特定の会社(契約機関)と特定の業務内容 を前提として許可されています。そのため、転職や配置転換(異動)によって勤務先や職務内容が変わると、入管への届出や資格の確認が必須になります。これを怠ると「在留資格取消」「更新不許可」など重大なリスクにつながるのです。

この記事では、転職・配置転換に伴う技人国ビザの注意点、届出義務の詳細、就労資格証明書の活用方法を詳しく解説します。

ポイント: 技人国ビザは「誰がどこで何をするのか」が許可の前提です。転職や異動の際には必ず入管手続きが伴うことを意識しましょう。

技人国ビザとは?対象となる職種と基本要件

まず、転職や異動の注意点を理解するためには、技人国ビザそのものの仕組みを押さえる必要があります。ビザの性格を理解すれば、どのようなケースで手続きが必要なのかがクリアになります。

技人国ビザは「技術」「人文知識」「国際業務」の3類型に区分されます。

  • 技術:ITエンジニア、機械設計者、システム開発など理系分野の専門職
  • 人文知識:経営企画、法務、経理、人事、マーケティングなど文系分野の専門職
  • 国際業務:通訳・翻訳、海外営業、外国語教師など語学力や国際性を活かす職種

要件としては、大学や専門学校卒業、または10年以上の実務経験など、学歴・職歴と職務内容の関連性が求められます。

ポイント: 技人国ビザは「専門性を伴う職種」に限定されており、単純労働は認められません。職務内容がビザ要件とズレると不許可リスクが発生します。

転職・配置転換で生じるリスク

「転職しても同じ職種だから大丈夫」と思いがちですが、それは大きな誤解です。技人国ビザでは契約機関と職務内容が紐づいており、変更があれば入管に通知義務が発生します。

主なリスクは次の通りです。

  1. 契約機関変更届出の義務違反
     転職しても14日以内に入管に届け出なければなりません。怠ると在留状況が「不良」とされるおそれがあります。
  2. 就労内容がビザ要件に適合しない
     例えばエンジニアから販売職に転職した場合、学歴・職歴と業務の関連性が崩れ、更新不許可や在留資格取消のリスクが生じます。
  3. 在留期間更新の際に不許可リスク
     異動先の部署でビザ対象外業務に従事していると、更新時に「在留資格に適合しない」と判断される可能性があります。

ポイント: 転職・配置転換は「届け出」と「適合性の確認」がセットです。放置すれば在留資格の根幹に関わります。

転職時に必要な「所属機関の届出」

技人国ビザを持つ外国人が転職した場合、まず最初に行わなければならないのが「所属機関に関する届出」です。

  • 提出期限:転職から14日以内
  • 提出方法:入管窓口または郵送、オンライン届出システム
  • 提出書類:届出書、在留カードコピー、新しい雇用契約書など

この届出は、単に情報を通知する手続きであり、在留資格の変更ではありません。しかし怠ると、次回の更新審査で「届出義務違反」として不利に扱われます。

ポイント: 転職が決まったら、まず「14日以内の届出」を最優先で対応することが重要です。

配置転換(異動)の場合はどうなる?

同じ会社内での異動であれば問題ないと思う方も多いですが、実は注意が必要です。

  • 同一会社内の配置転換:所属機関は変わらないため「届出不要」。
  • ただし要注意:業務内容がビザの範囲外に変わると不許可リスク。

例:システムエンジニア(技術)→店舗販売(単純労働)へ異動
この場合、会社は同じでも業務が適合しないため、更新時に不許可となりえます。

ポイント: 「同じ会社だから安全」とは限りません。業務内容がビザ要件に合致するかを常に確認しましょう。

就労資格証明書の活用

転職や異動の際、特に判断が難しいのが「新しい業務がビザ要件に適合するかどうか」です。この不安を解消するのが「就労資格証明書」です。

  • 目的:新しい職務が在留資格に適合しているかを入管に確認してもらう書類
  • 申請者:外国人本人または受入企業
  • 提出先:出入国在留管理局
  • メリット:更新や変更の際に「適合性が確認済」とされ、不許可リスクを大幅に軽減

特に以下のケースでは取得を強く推奨します。

  • 業務内容が以前と大きく変わる場合
  • 配置転換でグレーゾーンの業務に就く場合
  • 新しい会社が外国人雇用に不慣れな場合

ポイント: 就労資格証明書は「保険証」のようなもの。取得しておくことで将来の不許可リスクを防げます。就労資格証明書を、転職・配置転換・出向/派遣・請負化・社名変更(合併)などのタイミングで取得しておくと、在留資格変更の要否や業務範囲の適否が明確になり、資格外活動違反のリスク低減更新(在留期間更新)時の説明簡素化人事・労務・コンプライアンス体制の証拠化に役立ちます。

転職活動期間と在留資格の関係

前職を辞めたあと、新しい会社が決まるまでの期間にも注意が必要です

入管法では、技人国ビザ保持者が前職を辞めた場合、3か月以内に新しい活動を開始しなければ資格取消の対象とされます。

  • 3か月以内に転職先を決めることが基本
  • 長引く場合は「特定活動」への変更が必要になる場合あり

ポイント: 退職から3か月以内に転職先を決めることがルールです。長期のブランクは資格取消リスクを伴います。

更新申請に影響するポイント

転職や異動が直接的に問題にならなくても、次回の在留期間更新申請の際に影響することがあります。

  • 契約機関の届出をしていない → 更新不許可のリスク
  • 業務内容が要件と合致していない → 在留資格取消や更新不許可
  • 収入が極端に低い → 経済的基盤の不足として不許可

ポイント: 転職や異動の問題は「その場では気づかれなくても、更新時に表面化」することが多い点に注意しましょう。

まとめ|安心してキャリアを続けるために

技人国ビザで働く外国人にとって、転職や配置転換はキャリアの自然な一部です。しかし、日本の入管制度上は、届出や就労資格の確認を怠ると大きなリスクに直結します。

したがって、

  • 転職時は必ず「14日以内の届出」
  • 配置転換では業務内容の適合性を確認
  • 判断が難しい場合は「就労資格証明書」で裏付け
  • 更新申請に備えて、収入・雇用契約の安定性を確保

これらを意識することで、不許可や取消のリスクを回避し、安心して日本でキャリアを積み重ねることができます。

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所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A | 出入国在留管理庁

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