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特定活動ビザの主な類型一覧:多様な在留資格を解説

「特定活動ビザ」とは、既存の在留資格(技術・人文知識・国際業務、技能、留学など)には収まりきらない幅広い活動を対象にした特別な在留資格です。
法務大臣の告示により細かく類型化されており、医療・介護分野の人材受け入れ、留学生の就職活動や起業、スポーツや文化交流、デジタルノマドなど社会的ニーズに応じた多様な枠が設けられています。

この記事では、特定活動ビザの代表的な類型を整理し、それぞれの特徴や想定される活動内容をわかりやすく解説します。

目次

特定活動ビザの主な類型一覧

まずは全体像を俯瞰できるように、主な類型をカテゴリで分類した表でまとめます。

カテゴリ主な類型
医療・介護関連医療滞在、EPA看護師・EPA介護福祉士、EPA候補者、その家族
留学生関連本邦大学等卒業者(46号)、就職活動、起業活動、大学院進学までの滞在、J-Find(優秀な海外大卒者)
家族・親族関連高度専門職外国人の配偶者、親、家事使用人、特別高度人材の家事使用人
文化・スポーツ関連アマチュアスポーツ選手、スキーインストラクター、国際文化交流・インターンシップ・サマージョブ
起業・高度人材関連外国人起業家(起業活動促進事業)、特定研究等活動、特定情報処理活動
特例・移行関連日系四世、特定技能1号への移行、技能実習生転籍中の滞在、就労継続困難時の特例
新制度デジタルノマド(リモートワーク)、自動車運送業準備活動(免許取得等)

👉 次に、各カテゴリを詳しく見ていきましょう。

医療・介護関連の特定活動

外国人の医療滞在やEPA枠での介護人材受け入れなど、医療・介護分野を支える制度です。
少子高齢化の進展に伴い、今後も重要性が高まる分野といえます。

  • 医療滞在:長期治療のために来日する外国人患者とその同伴者が対象。
  • EPA看護師・EPA介護福祉士:経済連携協定に基づき来日する人材。国家試験合格が要件となる場合もあります。
  • 候補者や家族帯同:研修段階や家族支援のための枠組み。

留学生関連の特定活動

留学生のキャリア形成を支援するための類型が数多く設けられています。

  • 特定活動46号(本邦大学等卒業者):日本語力を活かして、接客・販売・営業・企画補助などに従事可能。
  • 本邦大学等卒業者の就職活動:卒業後も就職先を探すための滞在を認める。
  • 本邦大学等卒業者の起業活動:卒業生が日本で起業を行う場合に利用。
  • 大学院進学までの滞在:学部卒業後、大学院入学までの期間に在留を認める。
  • 優秀な海外大学卒業者の起業・就職活動(未来創造人材制度J-Find:高度外国人材を呼び込むための新制度。

学業から就職・起業まで、柔軟に支援するのが特徴です。

家族・親族関連の特定活動

高度人材や特別高度人材の生活基盤を整えるために、配偶者・親・家事使用人の在留を認める類型があります。

  • 高度専門職外国人の配偶者:就労も認められる点が特徴。
  • 親の帯同:子育てや介護を支援する目的で認められる場合あり。
  • 家事使用人:家事・育児をサポートする人材を帯同可能。

高度人材を呼び込むため、家族の安心を支える制度です。

文化・スポーツ関連の特定活動

国際交流や地域振興を目的とした制度です。

  • アマチュアスポーツ選手:大会参加やクラブ所属のため。
  • スキーインストラクター:シーズンごとの就労を想定。
  • 国際文化交流・インターンシップ:学生や若者が異文化体験を積むための短期滞在も含みます。

起業・高度人材関連の特定活動

経済成長やイノベーション促進を目的とした制度です。

  • 外国人起業家(自治体の起業活動促進事業):自治体の支援を受けて起業を目指す場合。
  • 特定研究等活動:学術研究や専門的調査活動に従事。
  • 特定情報処理活動:IT分野の高度人材が対象。

将来性・専門性を評価される枠組みといえます。

特例・移行関連の特定活動

救済措置的な性格を持つ制度です。

  • 日系四世:就労や滞在を一定条件下で認める。
  • 特定技能1号への移行:技能実習から特定技能へ移行する前の準備期間。
  • 技能実習生転籍中の滞在:転籍手続き完了まで在留を認める。
  • 就労継続困難の特例:リストラなどやむを得ない事情で一時的に在留を支援。

新制度(デジタルノマド・自動車運送業準備)

近年導入された新しい類型です。

  • デジタルノマド:国際的なリモートワーカーを対象。一定の収入や保険加入が要件。
  • 自動車運送業準備活動:特定技能1号として就労するために、日本の運転免許取得や研修を受けるための滞在。

時代の変化に合わせた 最新の制度 です。

申請上の注意点

  • 類型ごとに要件・必要書類がまったく異なる
  • 制度が頻繁に新設・改定される
  • 書類不備や解釈ミスで不許可になるリスクが高い

申請前に最新の告示や運用要領を確認することが必要となります。

特定活動ビザの更新可否と注意点

特定活動ビザは「活動内容に応じた在留資格」であるため、更新できるもの・できないもの・回数に制限があるものが存在します。
これは他の在留資格(技術・人文知識・国際業務や永住など)とは異なる重要な特徴です。

🔹 更新できない・原則不可の類型

短期的・一時的な滞在を目的とするものは、在留期間が終了すると帰国が前提となります。
特に学生や実習系の特定活動は「期限付き」と理解しておく必要があります。

  • インターンシップ(有償・無償)
     → 原則1年以内に限定。在学中のカリキュラムに基づく場合は数か月。更新不可。
  • サマージョブ(短期アルバイト的体験)
     → 夏休み等に限定され、更新は不可。
  • 出国準備(退去強制猶予等)
     → 30日〜数か月で更新不可。期間終了後は必ず出国。

🔹 更新できるが制限付きの類型

一定期間までは延長可能ですが、上限が定められているものです。

  • 本邦大学等卒業者の就職活動
     → 最長1年。特例で法務大臣が必要と認める場合はさらに6か月延長(合計1年6か月まで)。
  • 本邦大学等卒業者の起業活動
     → 最長2年。留学生の起業準備。活動計画・資金が必須。
  • 優秀な海外大学卒業者の起業・就職活動(未来創造人材制度J-Find
     → 最長2年。活動計画が重視される。
  • 外国人起業家(自治体の起業活動促進事業)
     → 原則6か月(更新1回のみで最長1年)。自治体の認定事業による限定枠。
  • EPA看護師・介護福祉士候補者
     → 国家試験の受験継続中は更新可能。看護師候補者は最長3年、介護福祉士候補者は最長4年。

🔹 条件を満たせば繰り返し更新可能な類型

安定的な就労・生活を前提としているため、要件を満たし続ける限り更新が認められます。

  • 本邦大学等卒業者(46号・就労型)
     → 就労継続が前提。1年・3年・5年の更新可。
  • 高度専門職関連の家事使用人・配偶者・親
     → 主たる高度人材の資格が維持されている限り更新可能。
  • 医療滞在(治療目的)
     → 医師の診断書や治療計画の継続性を証明すれば延長可能。
  • 日系四世
     → 1年ごとに更新。活動実績・生活基盤が安定していれば継続可能。文化活動や就労活動への参加実績がないと更新不可の可能性がある。さらに「自立支援プログラム受講状況」も評価対象。
  • デジタルノマド(国際的リモートワーク)
     → 所得要件や在宅勤務の継続性を満たせば6か月または1年ごと。年収1,000万円以上・在宅勤務継続・医療保障必須(海外旅行保険または日本の公的保険加入)必須。

特定活動ビザの更新可否一覧表

類型更新可否在留期間の目安備考・注意点
インターンシップ(有償・無償)❌ 不可原則1年以内(数か月のケースも)在学中のカリキュラムに限定
サマージョブ(短期アルバイト体験)❌ 不可数週間〜数か月夏休み等に限定
出国準備(退去強制猶予等)❌ 不可30日〜数か月期間終了後は必ず出国
本邦大学等卒業者の就職活動⭕ 制限あり最長1年(特例で+6か月)合計1年6か月まで
本邦大学等卒業者の起業活動⭕ 制限あり最長2年活動計画・資金証明が必要
J-Find(優秀な海外大学卒業者の起業・就職活動)⭕ 制限あり最長2年活動計画の実効性を重視
外国人起業家(自治体の起業活動促進事業)⭕ 制限あり原則6か月(更新1回のみ、最長1年)自治体の認定事業に限定
EPA看護師候補者⭕ 制限あり最長3年国家試験3回まで受験可能
EPA介護福祉士候補者⭕ 制限あり最長4年4年以内に国家試験合格が必要
本邦大学等卒業者(46号・就労型)⭕ 更新可1年・3年・5年就労継続が前提
高度専門職関連の家事使用人・配偶者・親⭕ 更新可1年・3年・5年主たる高度人材の資格維持が条件
医療滞在(治療目的)⭕ 更新可治療計画に応じる(6か月〜1年)医師の診断書・治療継続の証明が必要
日系四世⭕ 更新可1年ごと文化活動や就労参加、自立支援プログラム受講状況も評価対象
デジタルノマド(リモートワーク)⭕ 更新可6か月または1年年収1,000万円以上・在宅勤務継続・医療保障が必須

更新に関する注意点

  • 更新できるかどうかは「類型次第」
  • 期間更新申請では「活動継続性」と「遵法性」が必ずチェックされる
  • 更新できない在留資格の人が無理に居続けると「オーバーステイ」になり重大リスク
  • 在留資格変更(例:就職活動 → 就労ビザ、起業準備 → 経営管理ビザ)に切り替えることが、長期滞在の一般的な流れです。

特定活動ビザを取得する際には、「更新できるものか?」「何年まで滞在可能か?」を必ず確認することが重要です。

まとめ

特定活動ビザは、以下のように多様なニーズに応える仕組みです。

  • 留学生のキャリア支援(46号、就職活動、起業活動)
  • 医療・介護人材の確保(EPA枠、医療滞在)
  • 高度人材とその家族の受け入れ
  • 国際交流・スポーツ振興
  • 日系人や技能実習生の移行支援
  • 新しい働き方(デジタルノマド)

幅が広いからこそ、「どの類型に該当するのか」を正しく見極めることが大切です。

当事務所では、特定活動ビザの類型判定から入管への申請まで一貫してサポートしています。制度の幅広さに不安を感じる方は、ぜひご相談ください。

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