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【2025年最新】興行ビザ審査は厳しい?上陸基準1号・2号・3号の違いを基礎から解説

外国人の芸能人・スポーツ選手を招聘する企業担当者・プロモーター・イベント会社・制作会社・レーベル・スポーツ団体・芸能プロダクション向けに、興行ビザの上陸基準1号イ/ロ/ハ・2号・3号の違いを基礎から解説します。

目次

興行ビザとは?

在留資格「興行」とは?

興行ビザとは在留資格「興行」のことで、外国人芸能人やスポーツ選手が日本に来て、❶演劇・演芸・歌謡・舞踊・演奏等の興行活動、❷スポーツ等の興行活動、❸興行に係る活動以外の芸能活動(商品・事業の宣伝、放送番組・映画の制作、商業用写真の撮影、商業用の録音・録画など)を行うための就労系在留資格です。エンタメビザタレントビザ芸能ビザとも呼ばれています。
外国人俳優・歌手・音楽家・ダンサーの公演や舞台海外アーティストやK-POPアイドルのライブモデルのファッションショー出演プロスポーツ選手の大会出場TV・映画・CM・音楽の撮影・収録が典型例です。

在留期間は3年/1年/6月/3月/30日 のいずれかで活動内容や契約期間などによって異なります。

在留資格は出入国在留管理局(入管)の判断による審査が行われ、申請すれば自動的に認められるものではありません。入管は、上陸許可基準への適合性や提出書類の整合性が厳格に確認されます。不明瞭な点は書面で明確化し、入管法の条項要件に合致することを申請者が書面で立証する必要があります。

興行ビザは令和5年8月に入管法令が改正され、下記の区分となっています。インターネット上に上陸許可基準1号〜4号と記載されているサイトがありますが現在は4号はありません。

在留資格該当性
=在留資格の活動内容と一致しているか
上陸許可基準適合性
=基準を満たしているか審査される基準

通称
興行に係る活動演劇・演芸・歌謡・舞踊・演奏等の興行活動興行ビザ1号イ
興行ビザ1号ロ
興行ビザ1号ハ
スポーツ等の興行活動興行ビザ2号
その他の芸能活動興行に係る活動以外の芸能活動興行ビザ3号

興行ビザの法改正による変更のポイント
① 優良な招聘機関への特別優遇
・興行主催者側に過去3年以上にわたり外国人興行の受け入れ実績があり、報酬の未払いがない場合は、原則的な活動要件(例:会場の種別や経験要件など)が大幅に緩和されています。
・この優遇は風俗営業施設に該当しない事業者が対象となります。

② 安全性・透明性が高い受け入れのための緩和措置
・客席数の基準:定員100人以上とされていた基準が、立ち見客も含めた「収容人数100人以上」に変更され、小規模なライブハウスなどでも対応可能に。
・飲食提供の制限:従来、飲食物提供や接待は禁止されていましたが、客席でなけれでなければ飲食有償販売やお酒の提供が認められるようになりました。

③ 在留期間の延長
以前は15日間だった滞在可能期間が、30日間に延長され、興行活動がより計画的に立てやすくなりました。

興行に係る活動(❶演劇・演芸・歌謡・舞踊・演奏等の興行活動スポーツ等の興行活動

活動内容:演劇、コンサート、ライブ、ダンス公演、(観客ありの)ファッションショー、サーカス、eスポーツ大会、各種スポーツの大会など。
対象者の例歌手・ミュージシャン・俳優・タレント・モデル・K-POPアイドル・ダンサー・プロスポーツ選手などの出演者芸能人のマネージャー、演劇の興行の演出家、舞踊の興行の振付師マネージャー、専属コーチやトレーナーなど興行を行うために必要不可欠な者も契約と実態により対象となり得ます。

演劇・演芸・歌謡・舞踊・演奏などの観客を入れる活動が興行ビザ1号。スポーツ等で観客を入れる活動が興行ビザ2号に該当します。

その他の芸能活動(❸興行に係る活動以外の芸能活動

活動内容:映画・ドラマ・テレビ番組・CMの撮影・収録、映画・楽曲・書籍などの広告宣伝・プロモーション活動、ファッション雑誌撮影のモデル活動、楽曲のレコーディングなど。
観客を入れない制作・収録中心の芸能活動で、次の4類型に基づく枠組みで扱います。
(1) 商品又は事業の宣伝に係る活動
(2) 放送番組(有線放送番組を含む。)又は映画の製作に係る活動
(3) 商業用写真の撮影に係る活動
(4) 商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

対象者の例歌手・ミュージシャン・俳優・タレント・モデル・K-POPアイドル・ダンサー・プロスポーツ選手などの出演者番組制作者、撮影監督、カメラマン、録音技師など、芸能活動を行うために必要不可欠な者も契約と実態により対象となり得ます。

観客を入れない制作・収録中心の芸能活動が興行ビザ3号に該当します。

興行ビザの上陸許可基準と立証ポイント施設・運用の要点よくある落とし穴

興行ビザは対象活動に応じて1号・2号・3号と上陸許可基準の区分がわかれ要件が異なるため、対象活動がどの区分に該当するかを見極めが大切です。
それぞれの区分ごとに、興行ビザ申請における立証ポイント、施設・運用の要点、よくある落とし穴を解説します。

興行ビザ1号】演劇・演芸・歌謡・舞踊・演奏等の公演を行う場合

興行ビザ基準1号はさらにイ・ロ・ハの3つの基準に区分されます。

基準1号イ:日本の公私の機関と契約に基づき、風営法第2条第1項第1~3号の営業施設以外で行うもの。

風俗営業法第2条第1項第1~3号(キャバレー、キャバクラ、スナック等)に該当しない施設で行われる公演。基準1号ロに該当するかを先に整理するのが実務上妥当です。

主な立証ポイント:受入機関の適正性・実績、契約の明確性(地位・内容・期間・報酬)
施設・運用の要点:施設が風営法1~3号以外である疎明
よくある落とし穴:受入体制の説明不足等

基準1号ロ:次のいずれかに該当するもの。

下記のいずれかに該当する公演。
① 国・地方公共団体・特殊法人主催、または学校・専修・各種学校で行う公演
国・自治体・独法の援助で設立された機関が主催
敷地10万㎡以上の施設で、外国の情景・文化を主題に常時行う公演
客席で飲食物を有償提供せず接待なしの施設(非営利運営または客席収容100人以上)で行う公演
出演者の報酬が1日50万円以上かつ在留30日以内で行う公演

「客席で飲食物を有償提供せず」の規定
会場内にバーカウンター等が併設されていても、来場者がカウンターで購入して自ら席へ持ち運ぶセルフデリバリー方式であれば、要件をクリアできる余地があります。
「客席収容人数が100人以上」の規定
椅子の設置がないライブハウス等であっても、立見で安全に100名以上を収容できることが施設側で確認できる場合は、要件をクリアできる余地があります。
※いずれも図面・定員根拠・運用規程等で客観的に疎明する必要があり、最終判断は個別審査となります。

主な立証ポイント:条項への適合(契約・施設・収容人員・報酬・在留日数)を客観資料で疎明
施設・運用の要点:座席表・図面・消防書類/契約の単価×日数
よくある落とし穴:100人以上の疎明不足、報酬条項の数値未記載

基準1号ハ:上記イ・ロに該当しないもの(ライブレストラン等)

この場合は、出演施設の条件、申請人(外国人)の活動経歴、招へい機関の体制について、厳格な要件が課されます。

主な立証ポイント:舞台13㎡・控室9㎡(人数に応じ加算)・常勤5名など数値要件+出演者の技能・経験
施設・運用の要点:寸法入り図面+写真、人員体制資料
よくある落とし穴:面積が図面で読めない、技能疎明不足

興行ビザ2号演劇等以外の興行(スポーツ等)を行う場合

プロスポーツ・サーカス・eスポーツ・観客ありのファッションショーが典型例です。日本人と同等以上の報酬が求められます。
※観客ありのファッションショー(公開イベント)は原則2号、観客を入れない雑誌・広告の撮影は3号で検討します。

主な立証ポイント:日本人同等以上の報酬、大会・催事要項、保険・安全体制
✅施設・運用の要点:契約・安全体制・同等報酬の根拠
✅よくある落とし穴:同等報酬の根拠不足、要項未整備

興行ビザ3号興行に当たらない芸能活動を行う場合

CM・番組/映画制作・商業撮影・録音/録画、観客なしのファッション撮影・広告用収録などが典型例です。
①宣伝 ②放送番組・映画の制作 ③商業用写真撮影 ④録音・録画 のいずれかに該当。

✅主な立証ポイント:4類型の該当性、契約・制作計画・スケジュールの実体立証
✅施設・運用の要点:ロケ・スタジオ許可、香盤表等
✅よくある落とし穴:実質は“公演”なのに3号で申請

興行ビザ1号・2号・3号の比較表

区分対象活動典型例主な立証ポイント施設・運用の要点よくある落とし穴
1号イ演劇・演芸・歌謡・舞踊・演奏(風営法1~3号以外)劇場・ホール受入機関の適正性・実績、契約の明確性(地位・内容・期間・報酬)施設が風営法1~3号以外である疎明受入体制の説明不足、契約の地位・報酬が曖昧。
1号ロ公的主催/学校内/10万㎡/100人以上&有償飲食なし・接待なし/50万円/日&30日以内 のいずれかコンサート等条項への適合(契約・施設・収容人員・報酬・在留日数)を客観資料で疎明座席表・図面・消防書類/契約の単価×日数100人以上の疎明不足、報酬条項の数値未記載
1号ハイ・ロに非該当の演目型(飲食併設等)ライブレストラン舞台13㎡・控室9㎡(人数に応じ加算)・常勤5名など数値要件+出演者の技能・経験寸法入り図面+写真、人員体制資料面積が図面で読めない、技能疎明不足
2号演劇等以外の興行プロスポーツ/サーカス/eスポーツ/公開ファッションショー日本人同等以上の報酬、大会・催事要項、保険・安全体制契約・安全体制・同等報酬の根拠同等報酬の根拠不足、要項未整備
3号非興行の芸能活動(4類型)CM・番組/映画制作・商業撮影・録音/録画、観客なしのファッション撮影4類型の該当性、契約・制作計画・スケジュールの実体立証ロケ・スタジオ許可、香盤表等実質は“公演”なのに3号で申請

入管が重視する判断ポイント(公衆性・場所・観客・対価・主催者の収益性)

✅公衆性
不特定多数に見せ・聞かせる催しかどうかを確認します。クローズドな社内イベントや試写・リハのみの場合は該当しないことがあります。
立証資料の例:企画書/動員計画(想定来場者層・人数)/チケット販売方式(一般販売・抽選・当日券)/告知ページの写し など。

✅場所(施設の種別)
会場が風営法1~3号の営業に該当するか、どの条項(1号イ・ロ・ハ等)に当てはまる施設かを見ます。施設の法令区分と運用実態を“書面で”明確にします。
立証資料の例:用途説明書/営業許可・指定管理者関係書類/フロア平面図・運用規程/施設の登記・管理体制が分かる資料 など。

✅観客の有無・収容人員
1号ロの条項の一部では客席100人以上が要件です。数字は図面と公的書類で客観的に示します。
立証資料の例:座席表/平面図(寸法入り)/消防関係書類(収容人員)/客席写真(レイアウトが分かるもの) など。

✅対価の有無(観客側・出演者側)
観客側は「客席で有償飲食の提供なし接待なし」等の運用要件、出演者側は報酬(単価×日数=総額)の適正性・明確性を確認します。
立証資料の例:運用規程・フロア図(提供導線や提供場所の有無)/出演契約書(単価・日数・総額・支払条件)/見積・請求・支払実績 など。

✅主催者の収益性・属性
非営利運営公的主催援助を受けて設立された機関の主催といった属性を、複数の客観資料を組み合わせて証明します。単発イベントの後援名義や補助金だけでは足りない場合があるため、主催の事実設立援助の事実が読める一次資料を優先します。
立証資料の例:定款(非営利条項)/登記事項証明書/主催決定文書・開催要項(公印や決裁番号のあるもの)/設置法・条例・公益認定書・NPO認証書/指定管理者指定書/(設立援助の場合)設立認可・出資契約・基金造成の交付決定通知 など。

興行ビザ審査は「厳しい」と言われる4つの理由と対策

❶申請区分の理解不足・選択ミス

興行ビザはどの基準に該当するかにより資料の準備が異なってきます。基準により審査難易度も異なります。区分を間違えて申請した場合は補正対応、不許可、申請のやり直しとなります。まずどの区分で申請をするかを確定します。

条項の当てはめを先に確定
1号=演目型(演劇・演芸・歌謡・舞踊・演奏)→まず1号ロ(公的主催/100人以上50万円/日・30日以内等)に該当するかを検討→イ/ロ/ハを選択。
2号=演劇等以外(プロスポーツ・eスポーツ・観客ありのファッションショー)。
3号=観客なしの制作・収録(宣伝/番組・映画/商業写真/録音・録画)。

❷契約・報酬の不明確さ

地位・活動内容・会場・期間・単価×日数=総額・支払条件が曖昧だと補正・不許可の原因になります。

契約を“数値で”固める
地位・活動内容・会場・期間、報酬=単価×日数=総額・支払条件を契約書に明記します。
1号ロ(50万円/日・30日以内)は契約の単価・出演日数・総額・在留日数の整合が必須です。
2号は日本人同等以上の報酬の比較根拠(相場レンジ・過去支払)を準備します。

例)小箱ライブ:契約書に単価・日数がない → 1号ロ(報酬条項)適用を明確化し、契約書に追記。
例)格闘技大会:日本人同等以上の報酬の根拠が薄い → 比較レンジ・大会要項・保険の整備で2号許可。

会場・施設立証の不足

会場・施設は区分に求められることを客観資料で定量的に立証することがが不可欠です。

会場・施設の客観立証をそろえる
1号イ=風営法1~3号以外である根拠
1号ロ(100人以上)=座席表・平面図・消防関係書類・客席写真
1号ロ(有償飲食なし・接待なし)=運用規程・フロア図
1号ハ=舞台13㎡・控室9㎡(加算)・常勤5名を寸法入り図面+写真+名簿
2号=同等以上報酬の根拠・大会/催事要項・保険
3号=企画書・台本/撮影計画・香盤表・ロケ/スタジオ許可

例)ライブレストラン:図面から舞台・控室の面積が読みとれない → 寸法入り図面+写真で1号ハの数値要件を疎明。

❹スケジュール逆算不足

海外から呼び寄せる在留資格認定証明書(COE)の審査期間は概ね1~3か月が目安で、許可後にさらに在外公館の査証(VISA)申請が加わります。
招聘機関の「興行ビザ」での招聘実績が多い場合は、審査期間が短くなる場合もありますが、余裕のあるスケジュールを立て、逆算して準備していくことが重要です。

逆算スケジュールで準備を万全に
出演者契約、会場・設備手配と、興行ビザ要件の整合性を整理
在留資格認定証明書(COE)申請パッケージを組み立て(必要資料準備、申請書作成)
在留資格認定証明書(COE)申請〜審査・補正対応
在留資格認定証明書(COE)交付・本人へ送付し、在外公館(日本大使館または総領事館) にて査証(ビザ)申請
フライト・宿泊・機材通関等を確定
来日・入国審査の際には、パスポート、査証(ビザ)、在留資格認定証明書(COE)を提示

まとめ

✅条項当てはめ → 数値で疎明 → 整合チェックが通過率を左右します。
契約は地位・活動内容・会場・期間・報酬(単価×日数=総額)を明確に、施設は風営法区分・客席100人・舞台/控室面積・常勤人員などを図面・座席表・消防書類・運用規程客観立証しましょう。
✅在留資格認定証明書(COE)は査証・入国の保証ではありません。COE審査+在外公館審査の申請の工程に余白を取り、補正即応の体制やスケジュールを整えることが大切です。
申請前に必ず出入国在留管理庁の「興行」各基準ページ(1号イ/ロ/ハ・2号・3号)と提出書類一覧など最新の情報をご確認ください。

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