はじめに|夫婦写真・資料が審査で重要視される理由
日本人配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)を申請する際、入管は単に「婚姻届が受理されている」だけでは許可を出しません。なぜなら、形式的な婚姻届け出を利用した偽装結婚の事例が後を絶たないからです。
そのため入管は、婚姻の真実性を確認するために、夫婦が実際に共同生活を営んでいるか、社会的にも夫婦として認知されているか を多角的に調べます。
ここで重要な役割を果たすのが「夫婦写真」や「夫婦関係を裏付ける各種資料」です。書類上の婚姻関係だけでは伝わらない「生活の実態」や「二人の関わりの継続性」を補う証拠として、これらが審査の中心的な資料となります。
特に最近は、LINE・SNSのやり取りや国際送金の履歴などデジタル証拠 も重視される傾向があります。形式的に大量の写真を提出するだけでは不十分で、自然な日常の積み重ねが伝わる資料 が必要です。
配偶者ビザ申請に必要な夫婦写真の基本
夫婦写真は、配偶者ビザの申請において必須の添付資料です。出入国在留管理庁のHPにはスナップ写真2~3葉と記載されていますが、この枚数では足りません。
また「どんな写真でもよい」というわけではなく、明確な基準や望ましい形式 があります。ここを誤解すると、せっかくの資料が逆効果になりかねません。
夫婦写真の基本的な提出形式
- 枚数の目安:10枚〜20枚程度は用意し、時系列で複数の場面を選ぶ
- サイズ・形式:L判(89×127mm)でプリントアウトし、裏面に日付・場所・人物名を明記
- カラー推奨:モノクロは避ける
- アプリ加工不可:加工アプリやフィルターは避け、自然なままの写真を印刷
- 写真の時期:交際開始から現在まで
どんな場面の写真が望ましいか
入管に提出する写真は「二人の関係が真実である」と客観的に伝わることが最も重要です。そのためには、単なるツーショット写真だけではなく、多様な場面・複数の関係者を交えた写真 を準備することが求められます。
効果的な写真例
- 家族や友人と一緒の写真
→ 結婚が社会的に認知されていることを証明できます。両親との食事会や親族の集まりの写真は特に有効です。 - 結婚式や婚約行事の写真
→ 正式な儀式として行ったことを示す強い証拠になります。海外挙式や地域の慣習に基づく儀礼でも効果的です。 - 普段の生活風景
→ 自宅での食事、買い物、旅行など、日常の様子が伝わる写真は「共同生活の継続性」を示す証拠になります。 - 時系列を意識した写真
→ 交際初期から結婚、現在に至るまでの写真を順番に揃えることで、交際の一貫性と自然な流れを示せます。
ケース別の工夫
- 遠距離恋愛の場合
→ 空港での出迎え・訪問先での観光写真など、物理的に会っている証拠を複数年分集めることが有効です。 - 年齢差の大きい夫婦の場合
→ 家族ぐるみ・友人ぐるみでの写真を多めにし、社会的にも認められた関係であることを補強することが重要です。
避けるべきNG写真とは?
夫婦写真は数が多ければ良いというものではなく、内容によっては逆に不信感を招く場合があります。入管の審査官は、写真を一枚ずつ丁寧に確認し、二人の関係が真実かどうかを総合的に判断します。そのため、「不自然」「形式的」と受け取られる写真は避ける必要があります。
代表的なNG例
- 背景や服装が同じ写真ばかり
→ 一度の撮影で複数枚を用意したと判断され、日常性が伝わりません。 - 自撮りや加工アプリでの写真
→ 信頼性が低く、自然な交際の様子が確認できません。 - 観光地での写真しかない
→ 一緒に生活している証拠としては弱く、旅行だけの関係と誤解される可能性があります。 - 極端に親密すぎる写真
→ 公序良俗に反するような過度なスキンシップ写真は、証拠として不適切とみなされます。
例えば、海外で出会って結婚したカップルが「旅行中の写真」だけを提出すると、生活の実態が伝わらず不許可になるケースがあります。その場合、家族や友人と一緒の写真や、日常生活を切り取った写真を補足することで改善できます。
夫婦写真以外に提出すべき資料
配偶者ビザ申請において、夫婦写真だけでは不十分です。写真は重要な証拠の一つですが、生活の実態を客観的に示すためには、追加の書類や資料を組み合わせることが欠かせません。
代表的な補強資料
- LINEやメールのやり取り
→ 結婚後も日常的なコミュニケーションが続いていることを示す証拠になります。 - 送金記録・銀行振込明細
→ 経済的に支え合っている関係であることを示す強力な資料です。 - 共同名義の賃貸契約書や光熱費の請求書
→ 実際に同居していることを裏付ける資料となります。 - 親族や友人からの推薦状
→ 第三者による証言は、関係の信憑性を高める効果があります。
遠距離婚の場合、実際に同居していないために不許可リスクが高まります。その場合、定期的な訪問記録(航空券や出入国スタンプ)、宿泊先の領収書、通信履歴 を組み合わせて提出することで、継続的な交際の実態を補強することが可能です。
「夫婦写真+補強資料」を提出することが入管に安心感を与えます。経済面・生活面・交際の継続性を裏付ける複数の資料を用意しましょう。
ケース別に工夫すべき資料準備のポイント
夫婦の事情はそれぞれ異なり、提出すべき資料や工夫もケースによって大きく変わります。入管は画一的に判断するわけではなく、状況に応じて「本当に一緒に生活しているか」「婚姻が真実か」を柔軟に審査します。そのため、自分たちの事情に合った資料準備が重要です。
ケース1:遠距離婚の場合
- 定期的に会っていることを証明する航空券・出入国記録
- 滞在時の写真や領収書
- 日常的なメッセージのやり取り記録
ケース2:年齢差が大きい夫婦
- 家族・友人と一緒の写真を多めに提出
- 親族の証明書や推薦状を活用
- 出会いから結婚までの経緯を詳細に説明した理由書
ケース3:再婚の場合
- 前婚の離婚証明書や死別証明書を添付
- 新しい婚姻が真剣なものであることを示す補強資料(家族ぐるみの交流、共同生活の証拠)
ケース4:婚姻期間が短い場合
- 婚約時からの写真を時系列で提出
- 毎日のコミュニケーション記録を補強
- 将来の生活設計を具体的に示す

理由書の作成方法と書き方のコツ
夫婦写真や補強資料を提出しても、それだけでは十分とは限りません。入管は「資料の意味」を申請者自身がどう説明しているかを重視します。そのため、出入国在留管理庁のHPでは理由書は必須資料にありませんが、実際は必ず理由書を作成し、夫婦の経緯や現在の生活実態、将来の生活計画を丁寧に説明することが不可欠です。
理由書に盛り込むべき内容
- 出会いから結婚までの経緯(いつ、どこで、どのように出会ったか)
- 結婚を決意した理由(文化や言語の違いをどう乗り越えたか)
- 現在の生活の実態(同居状況、家計の管理、日常の過ごし方)
- 将来の生活設計(子育て、居住地、就労計画など)
書き方のポイント
- 時系列で具体的に記載する
「2019年5月に友人の紹介で出会い、2020年3月から交際開始」など、年月日を明示することで信頼性が高まります。 - 客観的資料とリンクさせる
「このときの旅行の写真を添付しています」「この送金記録は生活費の仕送りです」といった形で、提出資料と結びつけて説明すると効果的です。 - 入管の疑念を先回りして説明する
年齢差、短期間での結婚、離婚歴など、審査官が不自然と感じやすい点については、自ら丁寧に説明することが重要です。
提出時の注意点
準備した夫婦写真・補強資料・理由書は、提出の仕方次第で効果が変わります。入管は大量の申請を処理しているため、分かりやすく整理された資料は大きな安心感を与えます。逆に雑多に提出すると、信頼性が下がり、不許可リスクが高まります。
整理方法
- 写真はアルバム形式で提出する
日付や場所をキャプションに添え、時系列で並べると分かりやすいです。 - 補強資料はカテゴリーごとにまとめる
「通信履歴」「送金記録」「共同生活証拠」といった形でファイル分けすると整理された印象を与えます。 - 理由書は最初に置く
提出資料の冒頭に理由書を配置することで、審査官が全体像を把握しやすくなります。
よくある失敗例
- 写真をバラバラに封筒へ入れる
- 日本語でない資料を翻訳せずに提出する
- 資料の枚数が極端に少ない/多すぎて冗長
まとめ|不許可を防ぐために
配偶者ビザの申請において、「夫婦写真・補強資料・理由書」は三本柱です。どれか一つでも欠けたり弱かったりすると、不許可のリスクが高まります。
許可取得のための最重要ポイント
- 自然な夫婦写真を多様に提出する
旅行だけでなく、日常生活や家族・友人との交流写真を意識しましょう。 - 補強資料で生活の実態を立証する
送金記録や通信履歴など、客観的証拠を必ず添付します。 - 理由書で夫婦のストーリーを誠実に説明する
疑念を先回りして解消することで、審査官に安心感を与えられます。 - 資料の整理と一貫性を徹底する
見やすさ・理解しやすさが、審査官の印象を大きく左右します。
最後に
配偶者ビザは「形式的に結婚している」だけでは認められません。「真実の婚姻関係」を資料で可視化することが重要です。そのためには、夫婦写真や補強資料を戦略的に準備し、婚姻の背景、事実と法の要件への適合性を踏まえて作成する「理由書」で立証する姿勢が求められます。
夫婦写真は「入口」、補強資料は「証拠」、理由書は「立証するための説明」です。この三点をバランス良く揃えることで、不許可リスクを大幅に下げ、安心して配偶者ビザを取得できる可能性が高まります。
当事務所では、申請取次行政書士が不許可リスクを踏まえ、初回無料相談から書類作成・理由書作成・入管申請代行まで一貫してサポートいたします。
👉配偶者ビザでお悩みの方は、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。