
在留期間更新とは何ですか?
在留期間更新(Extension of Period of Stay)とは、現在の在留資格の種類はそのままに、在留できる期間だけを延長する手続です。活動内容(就労・学業・家族滞在など)が従前どおりで、引き続き法令要件を満たしていることが前提になります。出入国在留管理庁(入管庁)の公式案内でも、在留期間更新は標準処理期間の目安とともに独立した手続として整理されています。
ポイント
- 仕事内容や在籍先、学業の実態などが継続していることが基本です。
- 活動の中身が大きく変わる場合(例:留学→就労、家族滞在→就労、職務が資格枠外に広がる場合など)は在留資格変更が適切になります。
申請時期:いつから申請できますか?
多くのケースで、在留期間満了日の3か月前から申請できます。
実務アドバイス
- 1〜4月、9〜10月は新学期・人事異動が重なり、審査が混み合う傾向があります。満了3か月前に入ったら速やかに準備を開始しましょう。
- 長期出張や入院など特段の事情がある場合は、事前に管轄の入管へ相談して受理可否を確認すると安全です。
どこで・誰が申請しますか?(窓口/オンライン)
申請先の基本
申請先は、居住地または所属機関を管轄する地方出入国在留管理官署です。窓口での申請または、在留申請オンラインシステムでオンライン申請になります。
在留申請オンラインシステムの前提
オンライン申請は、外国人本人・法定代理人・親族(配偶者・子・父母)、所属機関職員・登録支援機関職員・弁護士・行政書士(申請等取次者)が対象です。遠隔地でも進捗の可視化ができ、補正依頼や結果通知も電子で受け取れます。
オンライン申請できる人
・外国人本人/法定代理人(親権者、未成年後見人、成年後見人)/親族(配偶者・子・父母)
→マイナンバーカード、パソコン、ICカードリーダライタ、JPKIクライアントソフトが必要・所属機関等の職員(企業・学校・登録支援機関・公益法人など)
→外国人の入国・在留手続に関する研修会等を受講し、所定の効果測定に合格したうえで、事前に利用申出/利用者登録が必要・申請取次行政書士/弁護士
→法務省が定めた研修を受講し、所定の効果測定に合格したうえで、入管に届出を行った行政書士・弁護士
2025年4月1日からの手数料(収入印紙)
2025年4月1日以降、在留資格の変更や在留期間更新などの手数料が改定されました。原則、窓口申請の場合は6,000円、オンライン申請の場合は5,500円です。
審査期間の目安はどれくらいですか?
入管庁は、在留期間更新の標準処理期間の目安を「2週間〜1か月」と案内しています。時期、案件の内容、追加照会の有無、国籍などで増減しますので、余裕のあるスケジュールをおすすめします。
必要書類(共通+代表的な在留資格別)
在留資格ごとに求められる書類は異なりますが、共通的に以下が基本となります。
共通書類
- 在留期間更新許可申請書(写真貼付)
- パスポート・在留カード
- 連絡先(所属・担当者・電話・メール)
- 住民税の課税(非課税)証明書・納税証明書(直近分)
- 理由書(活動の継続性・適法性・生計性などを簡潔に)
補足:前年途中の入国等で課税資料がない場合は、雇用契約・給与見込・残高証明などで補足説明するとスムーズです。
技術・人文知識・国際業務
- 雇用契約書、職務記述書(JD)(従前と同一か、変更点があるか)
- 同等報酬性の疎明(賃金規程・同職種の実績)
- 社会保険加入状況
- 初回更新に近い場合は、学位と職務の関連性が分かる資料が有効です
特定技能
- 分野別評価試験合格・日本語能力(1号)
- 支援計画・体制(登録支援機関の関与を含む)
- 労働条件通知・36協定など、労務面の適法性
留学
- 在学(予定)証明、成績・出席状況
- 学費・生活費の支弁計画(送金予定・残高など)
- アルバイトがある場合は、資格外活動許可の範囲内である旨の確認
家族滞在
- 扶養関係(婚姻・出生)書類、扶養者の在留カード
- 扶養者の在籍・収入の証明、同居実体・住居に関する疎明
(各在留資格の詳細は入管庁の案内・様式に沿ってご準備ください。)
申請ステップ
書類準備(原本/写し/和訳)
在留期間更新許可申請書(写真貼付)、パスポート・在留カード、課税/納税証明、理由書、所属機関資料(雇用契約・職務記述書(JD)、在学・成績・出席 等)をそろえます。原本提示・写し提出の指示に従い、外国語資料には日本語訳を添付します。
申請(住居地管轄の地方出入国在留管理局/オンライン申請)
提出先は原則として住居地を管轄する地方出入国在留管理局です。窓口で申請とオンライン申請の2つの方法があります。在留申請オンラインシステムを使えば、企業・学校・取次行政書士が利用者登録のうえ、オンラインで申請から補正・結果受領まで完結できます。
審査(追加提出があれば期限内に対応)
審査中に追加資料の照会が来ることがありますので、期限内に矛盾のない補足で回答してください。質問の意図を読み、該当性・上陸許可基準・遵法性のどこに疑問があるのかを特定したうえで、的確に補強します。
結果通知(はがき・メール)
審査結果は窓口申請ならはがき、オンラインならメールで通知されます。案内どおりに必要物(旅券・在留カード・手数料等)を準備し、受領期限がある場合は優先的に日程調整します。
手数料納付・在留カードの受領
許可時に手数料を納付し新しい在留カードを受領します。
申請中はどうなりますか?——特例期間を正しく理解しましょう
在留期間の満了日までに更新(または変更)申請が受理された場合、処分が出るまでまたは満了日から2か月が経過する日のいずれか早い時まで、従前の在留資格で在留を継続できます。これは「特例期間」と呼ばれ、就労可の在留資格であれば引き続き就労が可能です。
注意
- 2か月を経過するまでに処分(許可・不許可)が出ないと、それ以降は適法な在留ではなくなる可能性があります。特例期間は無制限の延長ではありません。
- 窓口申請では在留カード裏面に「申請中」の記載が入る運用が一般的です。オンライン申請では受付メール・受付番号などの証跡を携行・保存してください。
申請中に出国しても大丈夫ですか?——みなし再入国許可の基本
みなし再入国許可を利用すると、出国から1年以内(在留期限が先に到来する場合は在留期限まで)に同じ活動を継続する前提で査証なしで再入国できます。特例期間中の出国は、在留期限と有効期間の関係にご注意ください。
長期出国の見込みがある場合は、事前に再入国許可をご検討ください。
在留期間更新と在留カード有効期間更新は別手続です
- 在留期間更新許可申請:今回のテーマ。在留できる期間を延長する手続です。
- 在留カードの有効期間の更新申請:カードそのものの有効期限を更新する別手続で、とくに16歳未満・永住者などで該当します。2023年11月1日以降に交付された16歳未満の在留カードは16歳の誕生日の前日までが有効期限となる取り扱いが明確化されています。申請期間も誕生日前日の6か月前から前日までです。16歳未満の方の有効期間の更新申請は同居する親族の方など代理人の方が行う 必要があります。
よくある不許可・長期化の要因と対策
- 収入・納税・社会保険の齟齬
→ 課税・納税証明、給与台帳、社会保険の加入・納付状況を整え、生計の安定性を明確にします。 - 職務内容の専門性不十分(就労系の初回更新に多い)
→ 職務記述書(JD)で、学位・実務との関連性、単純作業でないこと、成果指標(KPI)まで明確にします。 - 在籍実体の希薄化(留学)
→ 出席・成績、指導記録、学費支弁の実態で補強します。 - 扶養実体の不明確(家族滞在)
→ 同居実績、送金記録、住居契約、写真や通信記録などで関係の実体を示します。 - 所属変更・転居の未届
→ 速やかな届出と、必要に応じて資格変更や更新の前倒し準備を行います。
標準処理期間の目安(2週間〜1か月)から大きく外れている場合は、追加照会や欠落資料がないかを点検しましょう。
転職後の在留資格更新
転職後の在留資格更新では、まず「所属機関変更の届出」を転職から14日以内に行う必要があります。
その後に「在留期間更新許可申請」をします。この更新申請は、前の更新と比べて事情変更があったと判断されるため、在留資格変更許可申請とほぼ同様の書類(転職先会社の情報や直近の決算書など)を提出し、新しい職務内容が在留資格の範囲内であることを証明する必要があります。この場合、審査期間も通常よりかかります。また、不許可のリスクを減らすために、余裕がある場合は事前に「就労資格証明書」を申請しておくとスムーズに進められます。
ケース別の補強ポイント(例)
- 技術・人文知識・国際業務:JDに専門性の継続、日本人同等の報酬(賃金規程・実績)、社会保険の適正加入を明記。
- 特定技能:分野試験合格や支援計画の実施状況、労務コンプライアンスを整理。
- 留学:在学・成績・出席・学費支弁の実態を提示。アルバイトは資格外活動許可(週28時間)の範囲内であることを確認。
- 家族滞在:扶養者の安定収入と同居実態、家族の健康保険加入などを整理。
よくある質問(FAQ)
いつから申請できますか?
満了3か月前から受け付けられるのが一般的です。繁忙期を見越し、早めの準備をおすすめします。
申請中に満了日を過ぎても大丈夫ですか?
満了日までに受理されていれば特例期間に入り、従前の在留資格で在留・就労を継続できます(処分が出るまで、または満了から2か月までの早い方)。
手数料はいくらですか?
2025年4月1日から、窓口申請の場合は6,000円/オンライン申請の場合は5,500円です。
出国の予定があります。申請中でも出国できますか?
みなし再入国許可の要件を満たせば、出国から1年以内(在留期限が先に到来する場合は在留期限まで)の再入国が可能です。出国前に有効性をご確認ください。
申請書の書き方の基本
- 氏名(ローマ字)・生年月日・旅券番号は旅券と完全一致にします。
- 活動内容は抽象語(「営業補助」「資料作成」等)だけでなく、具体的な職務まで書きます。
- 希望在留期間(1年/3年/5年など)を明記します。
- 在籍・収入・納税・社保の実体を疎明します。
- 理由書では「継続性」「適法性」「生計性」を簡潔に論理的に説明します。
- 必要に応じ、補強資料(雇用契約・職務記述書・支弁・扶養の裏付け)を添付します。
まとめ
- 期限管理:在留期間と在留カード有効期間は別物で、両方の期限を台帳で管理します(16歳未満カードの特則にも注意)。
- 時期:在留期間満了の3か月前から申請可能です。早めの準備が安心です。
- 方式:オンライン申請の活用で進捗把握とコスト削減(手数料5,500円)が期待できます。
- 審査:標準処理期間は2週間〜1か月が目安です(時期・内容で変動)。
- 特例期間:申請中は従前の在留資格で在留・就労継続が可能(最長2か月または処分までの早い方)。受付証跡を携帯しましょう。
- 周辺手続:出国はみなし再入国の有効性を確認し、在留期限との関係に注意しましょう。
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在留期間更新許可申請 | 出入国在留管理庁
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